ハック・スラッシュ・サンサーラ – 「メタルマックス2:リローデッド」(クリア)

メタルマックス2:リローデッド (ENTERBRAIN / CREA-TECH 2011)

仮にこれが写経だったら、あらゆる所願が成就され、多くの水子を供養でき、死後極楽に向かうことが約束されるほどの数繰り返してクリアしてきたゲーム、メタルマックス2。オリジナルのSFC版はそれこそ10数年前、学校から帰ってきてはひたすら遊んで、ジャポニカに埋蔵アイテムリストを記し、改造表を作り、LOVEマシン効果一覧を作るほどやり尽くしたものだった。

メタルマックス2:リローデッド(以下MM2R)は所謂リメイクものではあるんだけど、実際このゲームに突っ込まれた新要素、それに伴うシステム変更の多さは正直バージョン2.5くらいの変更っぷりだったので、本気で驚かされた。

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極私的Game of the Year 2011

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今年は世間的にも自分的にもあまりにも色々なことがあった。今年の初旬から夏前まではディレクションしたゲームの佳境がずっと続き、そのマスター直後、休みほぼゼロからの…別プロジェクトのリードレベルデザイナーになっちゃってヨッシャ!という感じで相当に忙しい一年だった。

と言いつつも、結局今年も結構な数のゲームをプレイしてきたわけで(いっちょ噛み程度のもの含め)、自分のメモも兼ねて、極私的なGame of the Yearをいくつか書いてみたい。

まず今年自分の金でプレイしたゲーム(仕事/フリー/ブラウザゲームを除いた)一覧は以下。

プラットフォーム タイトル名
[3DS] ゼルダの伝説 時のオカリナ3D
[3DS] ひらり桜侍
[3DS] マリオカート7
[DS] Monster Tale
[Dsi Ware] 洞窟物語
[Dsi Ware] Mighty Milky Way
[PC] Starcraft 2
[PC] Duke Nukem Forever
[PC] Dead Island
[PC] Battle Field 3
[PC] The Sims: Pets
[PC] Magicka
[PC] Portal 2
[PC] Voxatron
[PC] Loop Raccord
[PC] King Arthur’s Gold
[PC] One Unit Whole Blood
[PC] Orcs Must Die!
[PC] The Elder Scrolls: Skyrim
[PC] Sid Meier’s Civilization 5
[PC] Killing Floor
[PC] The Chronicles of Riddick:Assault on Dark Athena
[PC] The Ball
[PC] Brink
[PC] Terraria
[PSP] タクティクスオウガ 運命の輪
[PSP] エビコレ+ アマガミ
[PSP] グランナイツヒストリー
[X360] L.A.Noir
[X360] Gears of War 3
[X360] Deus Ex : Human Revolution
[X360] Batman: Arkham City
[X360] Bastion
[X360] ドリームクラブ0
[X360] Dead Space 2
[X360] Fallout :New Vegas -Dead Money-
[X360] Fallout :New Vegas -Honest Hearts-
[X360] Mass Effect 2

(プラットフォーム順。時系列は不同)

ここから自分的に印象深かったゲームをいくつかピックアップしたい。

Portal 2(PC)

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今年は何と言ってもこれに尽きる。2007年のウルトラ大傑作「Portal」の続編ということで、プレイヤーとしても開発としてもリリース前から期待値がすさまじく高かった一本。

しかし、前作の美しすぎるパッケージングが逆に『アレの続編ってどうやんの?』『広がるの?』『ただのマップパックじゃないの?』といった不安があった訳だけど、そのどれもこれもをアッサリと吹き飛ばしてしまう上手すぎる構成に唖然とした。

ゲーム単体で言ってしまえば、ゲームは前作の基本ルールを拡張したもので、イノベーションはほぼ無い、と言っていい。実際各種ゲームメディアの評価もその点が指摘され、GOTYでも順位は奮わなかった。

だけどこのゲームほど、「続編かくあるべし」を体現できたものを少なくとも僕は知らない。それに加えたスクリプトの配置、導線の巧さ。プロップデザインのスキの無さ。キャラクター造形の素晴らしさ。エンディングシークエンスの盛り上がり。イノベーションの薄さを補って余りある”お手本”が鏤められた、初代「Deus Ex」と双璧をなす、僕にとってのマスターピース。

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Bastion(Xbox 360)

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すでに主要メディアでのインディー部門のGOTYを獲りまくっているので、もはや説明不要な傑作アクション。といっても、アクション部分の作りは丁寧だけど言ってしまえば凡庸。武器の種類、攻撃パターンはそこそこ多いけれど、敵の種類は多くなく、戦略のバリエーションも深くはない。実際このゲームが評価されたのは肝心のゲーム部分ではなく、ガワの”世界観”や”シナリオ”、”サウンド”だったりする。オール手描きのフィールドグラフィック、ゲームが進むにつれ登場人物(自分ではない)のモノローグで記されるストーリーと、まるで物語を読んでいるかのような演出が心地良い。また、コンポーザーのDarren Korbが紡ぐ曲がどれも本当に素晴らしい。名実ともに2011年のベストVGMといえる。

僕がこのゲームで一番感心したのは、インディーデベロッパとしてのゲーム作りの巧さ。潤沢ではない資金、少ないヒューマンリソースを最大限生かした構成でこの良作を作りきったこと。ベース部分は小さくオーソドックスに作り、実装が肥大化せず、かつ最大限オリジナリティを出せるアートワーク/スタイルとサウンドにパワーを割いた点。このバランス感覚の良さは純粋に見習いたい。

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King Arthur’s Gold(PC)

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今年に入ってからのMinecraftの大ブレイクによって、まんまのクローンから思想的な派生ソフトが大量に出現したインディーゲーム界隈だったけれど、中でも今後に期待しているタイトルがこれ。PvPの明快なルール、ブロックを掘る/ビルドすることで地形がリアルタイムで変化する多様性、3すくみのクラスシステムと、シンプルながら拡張性の強いシステムが、今後のバージョンアップを楽しみにさせる。

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でもって

最後に、今年買ったはいいけど全くプレイ出来ていないゲーム「To The Moon」のトレーラーを載せて締めたい。

この「To The Moon」、RPGツクールで制作したゲームながら、純粋なシングルプレイADVとして数多の批評家たちを号泣の渦に巻き込んだ大傑作らしく、遊ぶのが楽しみな一本。

以上、それではよいお年を。

NDS「Monster Tale」クリア

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2011.03.22に発売されたNDS用2Dプラットフォーマー「Monster Tale」(日本未発売)をクリア。僕がその選球眼とセンスを個人的に非常に信頼しているゲームブログ「Brainy Gamer」*1でかなり評価されていたので買ってみたけど、確かにこれは面白かった。

ゲームは「メトロイド」や”月下の夜想曲”以降の探索型プラットフォーマーを基本とし、そこにペットの育成/成長要素をプラスした独特の作り。

開発はDreamRift、販売はMajesco。デベロッパのDreamRift社はこれがデビュー作の新進の会社らしい。

上下二画面の使い方

基本となる上画面では、プレイヤーキャラ”Ellie”を操作してマップを探索。下画面はペットの”Chomp”だけが住めるサンクチュアリとなっていて、ペットに与える食べ物、玩具、道具などを解析したり、ペットの体力回復ができる。ペットはいつでも上下の画面を行き来させることが可能で、バトルに参加させたいときは上画面へ呼び出せば、アクションを指示して攻撃できたり、勝手に闘ってくれたりする。ただしペットは上画面に滞在している間、徐々に体力が減少していくため、時々下画面で休息させる必要がある。また、先述したようにペットに与えるアイテムは全て下画面に格納され、それぞれの摂取に一定の時間がかかるため、上下画面への移動マネジメントが必要になる、という作り。

基本ゲームプレイ

探索型プラットフォーマーの持つ難点として、「同じルートを何度も行き来するダルさ、不毛さ」がある。この「Monster Tale」はその不毛さを、ペット育成をプラスすることによって何でもないザコとの繰り返すバトルに一定の意味を持たせる事ができている。いわゆる”お使い”の途中でも、積極的にバトルを挑んでアイテムドロップに期待したり、ペットに闘わせて育成させたり、何かしらのモチベーションは保てている点はとても評価できる。

ペットは樹形図的な分岐で多才に進化。およそトータルで30種以上の進化パターンがあると思う。それぞれの進化パターンには、個別の必殺技が用意されていて、マスターすれば別の進化形態でも使用できるようになる。火<水<木(光・闇)といった属性もあり、敵の行動や属性に合わせた進化パターンと技の構成をビルドしていくとバトルがグッと楽になる。

アクションは非常に骨太。空中コンボによるオーバーキルとコンボによって得られる報酬がどんどん増えて行ったり、ペットの必殺技も多彩なので遊び甲斐はかなりある。そして登場するボスキャラとのバトルはどれもしっかりしたアイデアと構成、演出がなされており、90年代の良質なプラットフォーマーの芳醇な香りすら感じさせる。

また、ドット画は非常に丁寧、アニメーションも多才で小気味良い。BGMもそれぞれのステージに良くマッチしていて、かなりレベルが高かった。

レベルデザインの拙さ目立つ

逆に残念だったのは、探索型プラットフォーマーとしては冗長すぎる点。能力やゲーム進行によって行ける場所が徐々に増えていくのが特徴的なこのジャンルだが、その開通できるポイントとアンロック条件が満たされる場所があまりにも遠い場合が多く、ペットの育成で間を持たせられるとしても、もう少し巧く構成できたはず。

また、アンロック条件としてプレイヤーキャラが覚えていく能力がある地点から完全に水増しになってしまう点も残念。たとえば”チャージショット”を覚えた後に、”ジャンプチャージショット”を覚える、というような物がやや多く、無理矢理小刻みにルートを解放しているように感じた。

モンスターの立ち上がり後1フレームでの反撃など、アクション/バトルの仕様でも細かい点で惜しい、と思える事があった。子供向けにしては少し難易度が高いかも。

…と、惜しい点はそこそこあるけど、ゲーム全体としては十分及第点の佳作だった。特に”手触りのよさ”はかなり高い。DreamRiftの今後は期待したい。

余談だが、ゲームをプレイ中ずっと、ペットの額あたりのデザインを見るたび漫画「うずまき」の黒谷さんを思い出してホホホホしてしまっていたのと、このゲーム最後の最後の大サプライズ「主人公は女の子だった」には本気で鼻水が出たことを付け加えておく。


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Link

北米DSi Ware「Mighty Milky Way」


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「Contra 4」「Shantae: Risky’s Revenge」の開発元で、僕が今いちばん愛しているゲームデベロッパ、カリフォルニア州バレンシアのWayForward Technologiesの新作DSi Ware「Mighty Milky Way」が先週購入可能になっていたので早速DLして遊んでいる。800 Nintendo Point。例によって日本国内での配信予定は無いので、日本で遊ぶには北米版DSiと北米マーケット用のポイントの用意が必要。

ゲームの概要

MMWのゲーム構造は、以前GBAでリリースされていたSkip製アクション「Orbital」をベースとした衛星の軌道投入/離脱を使った慣性移動でゴールを目指す、というもの。各レベルには触れると即死するバリケードが張り巡らされており、それに当たらないようゴールに到達すればクリア。プレイヤーが出来る事は以下。

  • キャラクターの移動速度の変更(静止+3段階)
    • プレイヤーキャラは惑星に着陸後時計回り移動をする性質を持っている。
  • ジャンプ>空中浮遊
    • ジャンプした元の惑星はダメージを受け、一定数ジャンプすると破壊される
  • 惑星の創造(ペンタッチの時間の長さで惑星サイズ変更)
    • 惑星の創造には消費アイテム”キャンディ”をひとつ使う。キャンディ取得数は各レベル毎に固定。

作成数が限られる、軌道投入・離脱に使用する惑星をどの場所にどのサイズで作ればクリアできるか、という点を考えると、やや「カービィボウル」的パズル要素も感じられる。接近した惑星の重力の影響もしっかり受けるので、手触りは予想以上に骨太な印象を受けた。

余談だけどゲームの主人公”Luna”はなぜかフランス語(?)を話す宇宙人*1。何かに付け流暢なフランス語をペラペラ喋るのが面白い。バリケードに触れて死ぬ時でも、2秒以上素敵なおしゃべりを繰り広げた後に飛び散るんだもの。

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サウンドコンポーザーはJake Kaufman

これまでのWayFoward作品の例に漏れず、今作のサウンドコンポーザはJake Kaufman(a.k.a virt)が担当。軽快でスペーシーなchiptuneと前述したフランス語のボーカルが混ざって楽しいことこの上ない。ちなみに、タイトル曲のボーカルにはボーカロイド「巡音ルカ」を使用していることも付け加えておく(そして若干の日本語も)。

そして、「Shantae: Risky’s Revenge」同様、今作もサウンドトラックが自由価格でDL購入可能*2になっているので、是非聴いてみて欲しいところ。

安心のWayForwardクオリティ。丁寧な作りが光る一品

前作「Shantae:RR」と比べると、地味な仕様のパズルアクションだけど、心のこもったドット画アニメーションとサウンドがそれを十分に補ってくれる。主人公Lunaのビジュアルはとても可愛らしいし、Jake Kaufmanのサウンドもゲーム展開によって時にハード、時にウェットにシーンを演出する。

人によっては800ポイントは高いかも…と思うかもしれないけれど、手触りの良さは自信を持ってオススメしたい。

関連link

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*1:そして頭に輝くエナジーボンボン!!

*2:最低価格は未設定なので、$0でもDLできると思われる