正直、マジで、本当に、今年は”ツイてない”としかいいようのない一年だった。
プライベートでは怪我やら内臓やらに異常が連発するし、10月からつい先日までずっと風邪というか体調不良が続くという状態。一年のうち1/4くらいが微妙なコンディション。さらに仕事もなんとも不運というか巡りが悪く、割を食うことが何度もあって、潜伏期間というか低空飛行というか、個人的には燻り続けていたパッとしない年だった。
一方(?)ゲーム業界はここ数年ずっと好調。あれだけ死に体だった国内コンソール市場も本格的に復活の兆しを見せてきているように感じる。「任天堂以外」のゲームが世界で何本もちゃんと売れている、という事実がそれの証左だと思う。
今年プレイしたゲームは以下。前述のような理由で、国内外関係なく良質なタイトルのリリースが大量であっても、自分がそんな調子だったので今年は例年と比べてプレイした本数は相当減った。
PC
- Dragon’s Dogma: Dark Arisen
- Heroes of Hammerwatch
- Into The Breach- Dead Cells
- Reus
- Far Cry 5
- Fallout 4(サバイバルモード)
- House Flipper
- Raft
- Oxygen Not Included
- The Wild Eight
- Rise of The Tomb Raider
- The Escapists 2
- Friday the 13th: The Game
- Divinity: Original Sin Enhanced Edition
- Conan Exiles
- American Truck Simulator
- No Man’s Sky
- モンスターハンター:ワールド
- HITMAN(2016)
- HUNT: Showdown
- Ashes 2063(DOOM mod)
- Total Chaos(DOOM mod)
- Artifact
- Celeste
- MTG: Arena
- Call of Duty: Black Ops 4
- Graveyard Keeper
PS4
- モンスターハンター:ワールド
- The Surge
- Bloodborne
- ドラゴンズクラウン:プロ
- God of War (2018)
- メタルマックス ゼノ
- Darksouls Remaster
- Marvel’s Spider-Man
- Red Dead Redemption 2
- Fallout 76
Switch
- Stardew Valley
- Yoku’s Island Express
- 大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL
- SEGA AGES サンダーフォースⅣ
Mobile
- ガーデンスケイプ
- ダンジョンメーカー
- ドラゴンボールZ ドッカンバトル
- 大航海ユートピア
- ドラガリアロスト
- The King of Fighters All Star
…と、ここ10年で一番プレイ本数が少ないような気がするのだけど、それはまあ加齢というか環境の変化ということで納得している。センチメンタルな気分になったり、悲観するのはもう良いかなという気分。
そんな中でも個人的に気に入ったタイトルは以下の通り。
No Man’s Sky
以前のエントリにも書いたけど、リリースから二年が経つ今年になっても怒濤のアップデートラッシュを続け、その度にサイヤ人よろしく劇的なパワーアップを繰り返すこのタイトルには本当に舌を巻いた。プレイヤーとしてはもちろん、いち開発者として強い感銘を受けた。
そしてこのゲームとスタジオが見せてくれた姿勢と結果は、これまで慣習的に行われてきたリリースのタイミングでのみ行われるゲームレビューと、評価システムの限界というか、”抜け”のようなものを露呈させたような気がしている。
特にここ数年は新作のリリースよりもコミュニティの維持・拡大が重要視されるようになり、ゲームプレイの拡張・進化、ものによってはルールそのものをガラッと変えて劇的に面白くなるタイトルも少なくない。
ゲームはアップデートを続けるのに、メディアのレビューは最初のまま。最近ではマルチプレイが主体のタイトルに関しては、製品リリースからしばらくして評価するという所も増えたけど、それもなかなか作品の変化に追い切れない。Metacriticのように随時データを蓄積させていくタイプもまたちょっと違う。
だから結局のところ、非力でもゲームを遊んで面白いと思った市井の人間がそれを外に発信していく事が今こそ必要なのだろうな、と思う。
Marvel’s Spider-Man
海外のみならず国内でも大ヒット(といって差し支えないだろう)した、スパイダーマンIPからの傑作アクション。オープンワールド化したニューヨークをごく自然かつ縦横無尽に飛び回る、インゲームでのウェブスイングアクション動画が拡散され、普段あまりハイエンドのゲームをプレイしないような層にもこのゲームの面白さが届いていく様が印象深かった。
個人的には、トータルのゲーム構造で見た時の旧態依然とした”フリーロームのやらされ感”、独自性・発展性に乏しいフリーフォームコンバットと、いまいちノリきれない要素が多々あったにもかかわらず、最後まで夢中で遊べたのはやはり「ウェブスイング」の圧倒的な多幸感のおかげだ。
今やCoDフランチャイズに欠かせないデベロッパーとなったTreyarchが作り上げたPS2の傑作『Spider-Man 2』のウェブスイングシステムを踏襲しつつ大きく発展させたこのゲームプレイ設計には舌を巻く。「やろうと思う動きが簡単にできる」「いろんなアクションが自在に出せる」「でも操作はとても簡単」この3つを驚異的なレベルで同時に達成したウェブアクションチームは、本当の意味でこのゲーム最大の立役者だと思う。
余談だけど、開発元のInsomniacの『Sunset Overdrive』からの『Marvel’s Spider-Man』に繋げていく、得た知見やプレイフィールの有効活用の巧さに(狙ったのだとしたら)強く感心した。
HUNT: Showdown
ふと、10月半ばくらいに、”新規のマルチプレイタイトルを開拓したい”と思って、いろいろ漁っていたらこのタイトルが目に留まった。名前は知っていたものの、いろいろな意味で危ういCrytekの製品だという事もあり当時はスルーしていたのだけど、まあ折角そういう気分になったんだし、という事で買って友人とプレイしてみた。
結果、これが当たりだった。
マップのどこかに隠れたターゲットモンスター(NPC)の手がかりを辿りつつ探索・発見次第狩りを行い、そのトロフィーを無事に持ち帰るのが基本のルール。しかし、同時に最大10人ほどのプレイヤーが同じマップに存在し、その全員でターゲットを奪い合うことになる。そのため、いち早くターゲットを発見するのか、ターゲットを別のプレイヤーが狩猟するのを待ち伏せ、その後奪い取るのか、真っ先に他プレイヤーをアグレッシブに殺しまくるのか、といった独自性のあるゲームプレイと駆け引きが楽しめる。
プレイヤー同士の発見・牽制が大きなポイントになっている本作は、HUDやUIなどによるサポートではなく、原則的に観察―見るのではなく観る、聞くのではなく聴く―が重要になっている。環境はプレイヤーの銃撃はもちろん、移動、オブジェクトへのインタラクトにも強く反応する。死体に群がるカラスが飛んだり、発電機がけたたましく鳴ったり、犬が吠えたりする。その音や挙動によって相手はもちろん自分の位置もバレてしまうので、状況によっては銃を撃たずにナイフで戦ったり、そもそも戦闘をしない選択も重要になってくる。さらにこのゲームはチャットシステムも独特で、最大5チームのプレイヤーたちはチャンネルが分かれずにすべてALL扱い。ただし、プレイヤー感の距離によってボリュームの大小が決まる、というシステムを採用している。つまりプレイヤー同士が話している内容が、近くに潜んだ別チームの誰かに聞こえている可能性が常にある、という、かなり攻めた実装を行っている。
そしてグラフィックもさすがCry Engineなだけあって(若干重い気もするが)高品質。20世紀初頭あたりの陰鬱なアメリカ南部の「バイユー」地形の空気感・表現力は、前述の仕様群と相まって強い没入感を与えてくれる。
2018/12現在、アーリーアクセス中。同時接続数はピーク時2000ほど。大人気タイトルではないためマッチングにはそこそこの時間を要する。しかしCrytekはかなり精力的かつ攻めた開発を続けているようで、コミュニティへのコミットも積極的。何年も継続的にサポートされるかどうかは断言できないが、個人的には強く勧めたい。
Yoku’s Island Express
Switchのストアをなんとなく眺めていて、ふと目について買ったダークホース。
「メトロヴァニア」+「ピンボール」の所謂ハイブリッドジャンルの一品なのだけど、この組み合わせの相性の良さに驚いた。
探索・謎解きのために広大なマップを激しく動き回るのと、ほぼ固定された1画面のなかで、細かくフリッパーを操作して遊ぶピンボール要素。この緩急のついたゲームプレイはメトロヴァニアスタイルで起こりがちな単調さ・飽きの回避に成功している。
ピンボール部分の盤面デザインも巧みで、ピンボール単体として見ても十分のクオリティ。ナッジングこそ使えないものの、しっかりとフリッパーの制御をやらないと攻略が難しい。面白いのは、ボールが接地している時はプレイヤーが方向キーで移動が自由にできる点。そのため本気のピンボールよりも打ち出す際の微調整が楽なので初心者でも十分楽しめる。
そしてその上に乗っかる奇妙な世界観。主人公はフンコロガシの郵便屋、喋る樹木、謎の生き物に寄生する喋るキノコ、爆発するナメクジ…。スウェーデンのセンスなのか、開発会社のセンスなのかは不明だけど、クラクラする世界観の上で遊ぶ極上のメトロヴァニアピンボール。超おすすめ。
Red Dead Redemption 2
腰を抜かす、というのはこういう事なんだな、っていうくらい、徹頭徹尾めちゃくちゃに打ちのめされた恐ろしい一本。去年のゼルダでもだいぶ飛ばされたが、それを更に上回る地獄のようなビデオゲーム。昨今当たり前のようにある”おもてなし”がほぼ無い、しかしひたすらに染みるブルースのような渋みと凄み。
このゲームの時代設定は1899年。西部劇がテーマといいつつも、既にその時代はほぼ終わりつつある。文明社会が急速にアメリカ全土を覆い始め、車や電力、通信といった技術革新が当たり前のものになりつつある時代。ニコラ・テスラがニューヨークに降り立ち、エジソンと分かれた後にかのウォーデンクリフ・タワーの建設を画策するのはこの2年後だ。
そんな時代を舞台にし、なにより前作『RDR』のプリクエルとなれば、西部に活きるアウトローたちの物語の結末はどう考えても破滅しかない。終わりが分かりきっている絶望的な旅をプレイする、という重苦しい感覚は、序盤こそ意識しなかったが、チャプターが進むにつれ徐々に画面と自分自身に広がっていく。それこそペキンパーやジョージ・ロイ・ヒルの一連のアメリカンニューシネマよりも救いの無い旅が続く。このアウトローたちの旅路と呼応するように、アメリカ先住民たちの行き先(土地を文化を尊厳を奪われ溶け込んでいく)が描写されていくのだが、そのプロットの構成に感心しつつもひたすら重い。
しかし(あまり詳しくは書けないが)最終チャプターの開始からエンディングまでのシーケンスには正直カタルシスでビリビリに震えまくった。ここまでキャラクターに没入し、感情を揺り動かされたのは久しぶりだった。
この極上のストーリーを支えるフィールドと生態系の構築も気が狂ってるとしか言い様がない。ただのmob一体にも凝りに凝ったタイムテーブルが設定され、生物の種類は200以上、さらにそれぞれに食物連鎖の下地が完璧に作られている。
『ゼルダBOW』では、あえてクエストの存在・位置を前面に押し出さず、プレイヤーの発見と好奇心を刺激する事によって、新たなオープンワールドのゲーム体験の生成に成功していた。一方この『RDR2』では、基本は従来型のオープンワールド構造でありつつも大量のランダムイベントに加え、この生態系と「狩り・釣り・採取」の存在がフィールド空間すべてに強い意味を与え、移動ですらピークメーター振り切りっぱなしの没入感がずっと続く。こんなゲームを出されたらもうゾッとするのを通り越して笑うしかなかった。
余談だが、職人集団の代名詞だった任天堂が、ここ数年費用対効果を意識した仕様設計とテクノロジーを駆使してAAA+タイトルを開発する(スマブラSPでさえそのメソッドを強く感じる)のとは対照的に、ロックスターは墨谷二中よろしく、ひたすら泥臭く時間をかけるという力業でこの大傑作を作り上げた、というのも、時代の変化を感じて面白かった。
仮面ライダーW
今年のゲームプレイ本数が少ない直接の原因がこれ。まったくゲームと関係ない話かつ10年前の作品でアレなんだけど、実際今年ダントツでハートを捕まれてしまったんだから仕方がない。
3月から4月にかけて、ゲームを全く遊ばずにずっとこればかりを熱病のように観ていた。ドが10個つくくらいの大傑作だった。さすがは三条陸、意志を継ぐ者、持たざる者の成長譚を描かせたら無敵だ。
「何者でもなかったボンクラが何かを成し遂げる」フォーマットというのが子どもの頃からずっと好きだった。『グーニーズ』『がんばれ!ベアーズ』『キャプテン』『ベスト・キッド』。そして本作の脚本家が手がけた代表作『ダイの大冒険』。リアルタイムで読んでいた小学校~中一頃、日本中のボンクラ予備軍たちのご多分に漏れず、ポップに強烈なシンパシーを感じていた。つまり、この『仮面ライダーW』にやられてしまう土壌は既に十二分に耕されていたわけで…。
E49、フィリップが戻ってきたときのめちゃくちゃにはしゃぐ翔太郎を観たとき、今年一番泣いた。ちょっと引くくらい泣いた。一緒に観ていた彼女も横で引くくらい泣いていた。
この他、アニバーサリーイヤーだったこともあり個人的に久しぶりに盛り上がっていろいろとプレイしたDOOM周辺、特に『Total Chaos』と『Quake Champions: Doom Edition』には驚かされた。DOSのゲームには全く見えないヴィジュアルエフェクトやライティング効果で化粧されたホラーゲームと化したTC、「Doom上でQuake Chanpionsをやる、そしてゴードン・フリーマンも参戦する」という二度聞きする力業の異形スマブラと化しつつあるQCDE。しかもそのどっちも相当面白いってのもすごい。
あとは『Artifact』。想像してた以上に、Dota2のプレイフィールとメカニクスを恐ろしく忠実に再現しつつ、カードゲームのルールとして絶妙に上手く落とし込んでいたのには驚いた。ゲームデザインとして、ここまで綺麗に換骨奪胎に成功してるものはそうそうない。さすがリチャード・ガーフィールド…なのだけど、いちゲーマーが数あるDCGの中から色んな意味でとっつきにくいこのゲームをわざわざ選ぶかというと…。個人的にはもう少し様子を見守っていきたい。
そして『Celeste』『Into The Breach』はレベル/ゲームデザインの巧さにただただ嫉妬した。仕組みは小さく、何度も遊べる。こういう燃費の良いゲームデザインと作品のパッケージができるのは良いゲームデザイナーの証拠だ。
今年はこんな感じ。自分の来年の目標は「とにかくやる、やっていく」というシンプルなものにする。自分の裁量と守備範囲を更に広げて、「やる」事に無駄なブレーキ、ストッパーを減らしていくことを目標としたい。
来年もよろしくお願いします。
P.S.ゲーム関係のブログやらnoteやらで、今年になって藤田祥平 or ダイハードテイルズもどきみたいな文体増えすぎだと思うのは俺だけ?
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