極私的Game of the Year 2015

「どん底だと思ったら、さらに底があった」(C)有吉弘行

ビデオゲーム業界を全体でくくって考えればまさにそんな状況の2015年。
笑っちゃうほど景気のいいCyGamesとかその辺に反比例するように、周りではバタバタと志半ばで倒れる音が聞こえる。更に業界の心の支えだった(と言っても過言ではないはず)の岩田さんまで居なくなってしまった。これは本当に堪えた。

当然自分の環境も無関係では全然なくて、正直一回溺れるかと覚悟したくらいだ。例年以上に必死こいて泳ぎ続けて、今日までなんとか生き延びた。

そんな中今年新たにプレイしたゲームは以下(順不同)。
例によってモバイル・ブラウザタイトルは除く(覚えきれてない、来年からメモる)。

  • Darkest Dungeon
  • Cities: Skylines
  • Gear Up
  • Her Story
  • Evolve
  • Undertale
  • Hotline Miami 2: Wrong Number
  • Dungeon of the Endless
  • The Blackwell Legacy
  • The Blackwell Unbound
  • Dirty Bomb
  • Downwell
  • Magic Duels: Origins
  • The Witcher 3: Wild Hunt
  • Heroes of the Storm
  • Dying Light
  • Metal Gear Solid V: Ground Zeros
  • Metal Gear Solid V: The Phantom Pain
  • Mad Max
  • Cibele
  • Max Payne 3
  • Ori and the Blind Forest
  • Rocket League
  • Sacred Citadel
  • Unepic
  • Sonic Dreams Collection
  • Nuclear Throne
  • Fallout 4
  • Styx: master of shadows
  • Darksiders
  • This War is Mine
  • Warhammer: End Times – Vermintide
  • Bloodborne
  • Anthophobia
  • Future Fragments
  • SimTentacles
  • CrowTel
  • Mirror Lake
  • Destiny 降り立つ邪神
  • オメガラビリンス
  • はいじん
  • かりかり
  • くせもん
  • モラゲロ
  • にがうりマン
  • おりば

(毎年言ってる気がするけど)生活自体の難易度がハードコアすぎてプレイできたタイトル数が今まで以上に少ない。更に今年はひとつのタイトルで余裕で1,2ヶ月持って行かれたケースが数回あったこともあり(あと今年もDota2ばっかり)、このような寂しい数になった。

以下、この中でも特に良かったタイトルを幾つか並べてみたい。

HYLICS

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Hylics (Mason Lindroth)

過去記事:http://flatage.com/archives/8415

たまにここで書いているように、個人的にRPGで重要な要素は「旅の感覚、探究心をちゃんと得られるかどうか」だと思っている。

例えば浮遊大陸を出たら何があるのか、旅の扉の先には何があるのか、シリは今何処にいるのか、優秀なRPGは”見たい・知りたい・行ってみたい”ドリブンでプレイヤーを誘導する。

見た目は完全にスカム、ゲームバランスは破綻ギリギリ(でもちゃんと進める)、バグは多めといった出来にもかかわらず、この『HYLICS』はその点、遊んでいて「先に何があるか知りたい、見てみたい」欲求が強烈にプレイヤーを引っ張り、途切れる事がない。

意味の分からない建造物、訳がわからない景色、見た目・話す内容も意味不明なNPC。作者の脳内にダイレクト接続したような世界の先を、もっともっと体験したくてたまらなくなる。

体験の圧倒的な強烈さという点では今年一番のインパクト。そういう点では『Undertale』(これも傑作なのは変わりないが)よりも、個人的にはこの『HYLICS』を薦めたい。

Her Story

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Her Story (Sam Barlow)

いい加減、安易な「ナラティブゲー」に疲れた。”ナラティブ”って謳うのは遊び・手触りが微妙でいいことの免罪符じゃねえぞ、と今年は何度も口にした。

そんな中、警戒しつつプレイしたこの『Her Story』はマジでゲームとしても”ナラティブ”的にも白眉の出来。

ADVの遊びとしてのメカニックを超ソリッドに換骨奪胎し、新しい体験に作り上げた巧みさには恐怖すら感じた。

所謂P&C ADVのポイント移動によって調査し、フラグを立て、推理して答えを選ぶ、という古典的な仕組みを、

  • 細かくカットされたビデオテープを閲覧する ≒ 調査
  • 話の内容から次に調べるべき単語を探す ≒ フラグ立て
  • 情報の断片から自力で答えを導き出す ≒ 答えを選択

という作り変えによって、仕組みの面白さはそのままに全く別の体験へと変換。「1994年に起きた事件に関する被疑者への膨大な取り調べビデオを、データベース検索を駆使して推理する」という超オリジナルかつハイレベルなゲームプレイに昇華した凄まじさ。

個人的にメカニックの巧みさという点で、ここ数年では『Papers, Please』と同じくらいの”発明”だと思っている。

Nuclear Throne

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Nuclear Throne (Vlambeer)

ゲームとしての完成度・中毒性は当然Vlambeer、面白くないわけがない。

が、この『Nuclear Throne』の凄い所は最初のEarly Accessから製品リリースまで、一切の値引きセールをやらずに作りきった事だ。

Twitchを使った毎週の開発日誌とアップデートによる継続的な話題性と興味を引き続け、1年以上の開発期間を乗り切ったその胆力。当然資金はそれなりにあっただろうし、有名デベロッパーだからこそ可能だったんだろうが、今の時代にあってのこの姿勢。ただただ尊敬する。

Splatoon

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Splatoon (任天堂)

リリース日に購入したものの、一ヶ月ほどプレイして以降、時々アップデートチェックをする以外実はそこまでプレイしてなかったりする。ただ、このゲームから感じる任天堂”イズム”のブレのなさ・開発陣の異常なまでの優秀さに心底ゾッとした。

「変わったTPSを作る」のではなく、「塗って競う」仕組みのコアデザインがそこにあり、製品として成立させるためにTPSの”ガワ”を借りて形にした”手触り原理主義”。

開発中、どんなに苦境に立たされても、自社の既存IPに乗っかることを拒否し、茨の道だとしても自分たちのオリジナルIPを作りあげた覚悟と才能。

そしてワンアイデアの遊びを極限まで広げるギミック設計とレベルデザイン。

Splatoonは主にマルチ、またはキャラクターばかりフォーカスされがちだが、個人的に開発陣の才能を如実に感じたのはシングルキャンペーンの構成だった。各ステージのギミック設計の巧みさと無駄のなさは、2007年の超傑作『Portal』を思わせる。

ゲームのコアの遊びをプレイヤーが自然に、違和感なく、適切な難易度カーブで習得しながら攻略させるレベルデザインは今年最も戦慄したもののひとつ。

Sonic Dreams Collection

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Sonic Dreams Collection (ARCANE KIDS.COM)

悪夢。

The Witcher 3: Wild Hunt

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The Witcher 3: Wild Hunt (CD PROJEKT RED)

オープンワールド型、ではなく全てのRPGにおけるある意味一つの到達点。涙がでるほど震えた。

このゲームの膨大な要素すべてに「人の血」が通っているのが伝わったのは、『アマガミ』のスクリプト演技で打ちのめされて以来だ。

例えばサイドクエスト。この手のRPGのサイドクエストなんてものは大概、量が重視される。スクリプトができる若手のバイトを雇って、適当な集めもの(Aをn個集めてBまで行け)やフラグ立て(Aに行ってB地点に行って云々)を大量に作らせる。それらに適当なNPC会話と簡単な紙芝居をぶら下げれる。これを100,200作れば『膨大な量のクエスト!』の完成だ。

この作品にはそんな「賑やかし」が殆ど無い。恐ろしい数のクエストが用意されているにもかかわらず、そのほぼ全てにカットシーンがあり、ちゃんとした物語があり、結末がある。時に笑え、時に悲劇、また時にはプレイヤーの意思決定が委ねられる。

ノンリニアでありながらも超濃密なストーリーテリングの両立。これを成立させるために注がれた労力と熱量は考えるだけでも気が狂いそうになる。ディレクターからデバッガー、広報含む全ての開発陣に、心からの感謝を。

来年の国内ビデオゲーム界隈はどうなるのか、正直想像がつかない。
おそらく今年以上にいろんな会社が無くなり、また生まれていくのだろう。

自分も来年の今頃、どのフィールドで何をしているのか、本当にわからない。
ビデオゲームは作っていたいと思うが、もしかしたらスマートフォン向けの開発を生業にしているかもしれない。それこそ国外でゲームを作ってる可能性だってある。

希望あふれる未来がある感じでもないけど、ただまあ、別に絶望してるわけでもない。どんな場所で、どんな状況だろうと、作るやつはゲームを作る。ダーガーが、ヴィヴィアン・マイヤーがやっていたように。伊勢田監督が今もやっているように。

僕も作ります。

来年もよろしくお願いします。

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