さらば青春の輝き – 風来のシレン4 -神の眼と悪魔のヘソ-

不思議のダンジョン 風来のシレン4 神の眼と悪魔のヘソ

不思議のダンジョン 風来のシレン4 神の眼と悪魔のヘソ

ひとまずメインのダンジョン「エメラルドパレス」を踏破。

これまで10数時間遊んで抱いた印象として、ゲームそのものの完成度としては、シレンシリーズの中でも会心の出来。個人的には初代・月影村に並ぶ高バランスの一本だと言える。

武器・盾のロストを(ある程度)予防できる”タグ”と、復活と脱出を兼ねる”やりなおし草”など、ベース部分での難易度を落としつつ、一歩先で常に死の危険を作る「夜」によって定期的にシビアな状況を作り出す。この「夜システム」による難易度の揺らぎは、ゲームに適度な緊張感を与え、手練のシレンジャーをも脅かす。

また、武器・盾の「成長」も、あらゆる場面でプレイヤーの”選択”を作り出す良システム。使い込む事で強くなる気持ちよさと、コレクタブルな楽しさも内包し、基本のゲームプレイとの親和性がかなり高い。

しかし、個人的に非常に不満だったのは、ゲームに登場するNPCの扱いがぞんざいすぎる事。シレンはゲームの表現・システムの設計上、世界がもの凄く狭い。モンスターを除き、登場するNPCはおそらく100キャラ前後。この数は他のゲームからすると圧倒的に少ない。

だからこそ、1キャラ1キャラに丁寧なセリフやバックボーン、個性付けが出来る。これまでのシレンは、この極めてミクロな世界だからこそ、細かなディテールまでデザインされた世界観や人間関係、村々の空気すらも感じることができた。この大傑作が生まれたのも、この人間臭いNPCたちの造型があってこそだった。

NPCに話すたびに表示される「男」「娘」「若者」の血の通っていない文字列。ナオキやビビンギダ、ケヤキやアモカチといった面々の佇まいとセリフから醸し出される生活感と、リーバ八獣神に見守られ、また弄ばれる運命の妙。この何とも言えぬ愛すべき独特の空気感。それらが本作からは完全にスポイルされている。僕はこれが本当に悲しかった*1

本作「風来のシレン4 -神の眼と悪魔のヘソ-」は世界観やキャラのオリジナリティ、言語センスの輝きは失われてしまったが、ローグライク/シレンという遊技としては完成度の高い佳作であることは間違いない。クリア後のダンジョンも個性と戦略性が両立したものばかりだ*2

シレンジャー、そして厳しい状況が続くチュンソフトに、旅の神クロンの追い風が吹かんことを。

*1:そして図鑑などのテキスト周りの品の無いネットスラングの乱用。正直本作のテキスト周りの担当者は低俗で志の低いクソ野郎だ。

*2:個人的には「二撃の洞窟」が好み

電子シャーマン – Alien Shooter 2: Reloaded

別に好物でも何でもないのに、気がつけば袋一杯食べてしまう節分の豆。別に楽しいわけでもないのに、ただダラダラ反復して潰してしまうエアクッションの粒。それと同じように、とりわけ面白いわけでも何でもないのに何故か十時間もかけてクリアしてしまったゲーム。

その名は「Alien Shooter 2: Reloaded」。

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定価$10未満でリリースされる、駄菓子感覚で遊べる”バリューゲーム”。そのジャンルの中でも、ひたすら見下ろし型Hack ‘n Slash*1ゲームばかりを開発し続けるロシアのデベロッパー、Sigma Teamが開発した一本。

内容は超シンプル。全方向からひたすら沸きまくるエイリアンの群をマウスで狙い、撃ちまくるだけ。マップ上に散らばるお金を集めてショップで装備をカスタマイズといった要素もあることにはあるけど、それも別に駆け引きもクソもあったもんじゃない。当然ストーリーも病院食ばりの薄味っぷり。

しかし、だからこそ、プレイに妙なトリップ感が生まれてくる。

「沸く」>「撃つ」>「肉片」…。この単調なサイクルがゲーム開始からエンディングまでひたすら続く。本当に全く変化もないまま、ずっと同じだ。銃撃音はやたらと小気味良く響き、赤い花が画面一杯に咲いていく。単純な動作とリズムの繰り返し、まさに洗脳で使われる常套手段の如し!

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ゲームそのものを切り取ると、正直面白くも何ともない。プリレンダのキャラが動き回るクォータービューに感慨を持つ人だったらまだ何とか、というレベル。

でも何故かやっちゃうんだよなあ…。

開発元公式サイト

steamストア

*1:ただしアイテム探索/トレハン要素はほぼゼロ

慣れってすごいね – 仮面幻影殺人事件

所謂「ポイント&クリック型」と呼ばれる、極めてオーソドックスなADV。元は携帯電話向けのアプリとして展開されているシリーズ「探偵・癸生川凌介事件譚」の一編*1。この「癸生川~」シリーズは、携帯向けアプリにしては骨太なシナリオ、また、今や絶滅危惧種である本格志向の推理アドベンチャーとしてファンも多く、本作はシリーズ待望のニンテンドーDSへ”昇格”となった初のタイトル。

主人公”生王 正生(いくるみ まさお)”は携帯ゲームのシナリオライター。*2ゲームのネタ探しのため、癸生川探偵事務所に出入りすることが日課で、携帯アプリの他作品同様、本作も生王が事務所へ来訪する所から幕が上がる。

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多人数参加型推理ADV「MO(ミスティ・オンライン)」。βテストへの参加を依頼された生王は、ゲームをプレイするため、癸生川探偵事務所へ向かう。そこで、探偵事務所の助手、白鷺洲 伊綱(さぎしま いづな)と協力しながら、ゲーム内で企画された殺人事件の”捜査”をする。時を同じくして、ゲーム内とまったく同じ状況での事件が発生。生王と伊綱は、オンラインゲームと現実を行き来し、奇妙な事件へと立ち向かう。

とにかくこのゲームでまず目を引くのはなんと言ってもグラフィック。どう見ても商品レベルに達していないキャラモデルがいちいち大見得を切ったポージングで、しつこいくらいにバシバシと演技していく。しかしそれに臆してこのゲームを遊ばないのは非常に勿体ない。大丈夫だ。まるで「くさや」の臭いよろしく、この(はっきりいってヒドい)グラフィックもゲームを遊んでいくにつれ、妙な魅力と空気感を演出しているように感じてくる。(多分これはどう考えても言い過ぎだろうけど)このゲームは、昨今のビデオゲーム開発において各スタジオが非常に苦労している「独自の雰囲気」の獲得に成功している。はず。

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ゲームシステム自体は先述したとおり、何の変哲もない推理ADVのそれ。メモ機能など、UIまわりでの工夫はあるが、ひたすら十分なフラグが立つまで、選択肢とポイントクリックを繰り返す、例のうんざりする仕様上の問題点もそのまま。

しかしそれを補って余りあるのがシナリオ。この「仮面幻影殺人事件」をADVファンの中で”隠れた名作”たらしめているものがこれだ。オンラインゲーム内と現実世界を行き来し、徐々に事件の核心へと迫っていく展開はプレイヤーを飽きさせない。適度なタイミングで登場する個性的な人物やイベントも、基本的にはしっかりとした伏線・理由の元に配置される。

推理ものとしてはやや強引な展開(特に真犯人周辺のくだり)もままあるが、それでもこの手のチンタラ系ADVが苦手な僕が最後まで遊びきれたんだから、良くできている。この作品を作った開発陣には拍手を送りたい。

同じディレクター(石山貴也)が開発したブラッドオブバハムートは大失敗作だけどな!

探偵・癸生川凌介事件譚 仮面幻影殺人事件 Genki the Best

探偵・癸生川凌介事件譚 仮面幻影殺人事件 Genki the Best

*1:スタッフは替わりながらも、現在でもシリーズは継続中

*2:本作のスタッフクレジットにもシナリオ担当として、同名の人物が記されている。つまりそういうこと。

ヴィーゴの絵もちゃんとあるよ

出来の悪い版権ゲームの免罪符、”ファンなら買い”。この「Ghostbusters: The Video Game」は真の意味でのこの言葉を使っていい。ずっと夢にまで見た、あの3人+1人と一緒に幽霊退治ができるなんて!

ゲームの時系列は映画(ゴーストバスターズ/ゴーストバスターズ2)の”その後”。プレイヤーはヴェンクマン/スタンツ/ステングラーの元へ新しく入社した新入りとして、例のゴツイ掃除機「プロトンパック」を背負い、3人のサポートとして様々な怪奇現象に立ち向かう。そう、今回の”映画”の主人公はプレイヤーだ。あの映画の続きを自分が主演できる。もうそれだけでファンはご馳走すぎて気が狂うだろう。なにせ最初のボスがあのステイパフ(マシュマロマン)なんだから!

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正直グラフィックとかコリジョンとか操作感とか、ゲームそのもののプレイ感は「よく作られているが凡庸」。映画のファンじゃければ、「丁寧でまあ面白いね」程度の出来だ。だけどこのゲームには何よりも原作に対する愛がある。そりゃもうビックリするほどに。ボクセルの隙間からまるでスライムのように滲み出る、開発者たちの「俺はGBが大好きなんだよお!」という情念をヒシヒシと感じられるだろう。だからファンが遊んだならば、この及第点のゲームは傑作に変わる。だって開始して1分もしないうちにレイ・パーカー・ジュニアのあの音楽が流れるんだもの。

最高!

http://www.ghostbustersgame.com/

Ghostbusters(輸入版)

Ghostbusters(輸入版)

ガンスリンガーおっさん – Red Dead Redemption

吹きすさぶ砂嵐とタンブルウィード。軋むウェスタンドア。机を叩くグラスの音と下卑た笑い声。

男ならば一度は焦がれる、馬と銃と死が覆う世界。

http://media.rockstargames.com/products/rockstar/screenshot%20gallery/reddeadredemption/1/1280/29.jpg

そんな西部劇の世界を、空気感の表現に定評があり、またフリーロームの第一人者たるRockstar Gamesが本気で作ったとなればもう、俺たちは黙ってなんかいられない。

つまりこの「Red Dead Redemption」は億泰の言うところの「モッツァツァ・・・?」「たとえるならサイモンとガーファンクルのデュエット!ウッチャンに対するナンチャン!高森朝雄の原作に対するちばてつやの『あしたのジョー』!」であり、最高に面白い事はジョセフの言うところの「コーラを飲んだらゲップが出るっていうくらい確実」なのだ。*1

ゲームは、主人公John MarstonがArmadilloの町に降り立つところからはじまる。かつてのギャング仲間であるBill Williamsonを捕らえるため、司法機関から駆り出されたMarstonは、一度は捨てたピースメーカーを握り、己の過去の贖罪(Redemption)のため、Williamsonの根城であるマーサー砦へと向かう。

初っぱなからかなり先が気になる脚本だが、実際にゲームを遊ぶと正直全然メインミッションは進まない。というのも、寄り道要素の面白さが尋常じゃなく、つい2,3時間ダラダラと馬を走らせてしまう。

様々な野生動物との狩り。ランダムに発生する馬泥棒・強盗・オオカミに襲われる人・美人局。ポーカー、ブラックジャック、ライアーズダイスといったミニゲーム。俺たちのイメージする西部の世界がむせ返る程の濃さで全方位的にどこまでも広がっている。

立ち振る舞いだって自由だ。ゲームのパラメーターには「Fame」と「Honor」という概念があり、プレイヤーの行動によって変化していく。「Fame」はMarstonがどれだけ有名かを示し、上昇するに従い、店での買い物が安くなったり、人々から助けを求められやすくなる。「Honor」は+/-50で表現され、悪人的な行動をすればマイナスに、善人らしく行動すればプラスに働く。Marstonが無法者として名をはせるか、英雄として歴史に名を残すかは、プレイヤーだけが知っている。

http://media.rockstargames.com/products/rockstar/screenshot%20gallery/reddeadredemption/1/1280/new/73.jpg

ちなみに、本日の我がMarstonは、高レートのポーカーに1時間ほど挑み、2000チップ獲得を賭けて勝負を挑んだ所、喜劇役者みたいな顔をしたメキシコ野郎に大敗。頭にきてナイフで刺し殺すも保安官に追い回され、やむなく馬で逃走。山の中腹まで走り逃げ切ったとホッとした瞬間、茂みに隠れていたクーガーに一撃で喰い殺されたのであった。荒野には死が常に横たわる。

Red Dead Redemption(輸入版:アジア)

Red Dead Redemption(輸入版:アジア)

*1:カプコン(途中まで)制作の前作「Red Dead Revolver」は、(ハード上・スケジュール等の制約もあり)西部劇の主人公を追体験させるようなリニア設計で、カバーシステムや決闘モードといった意欲的な仕様も多かったが、テンポの悪さと単調さで評価はふるわなかった