小粒でシンプルな消防士プラットフォーマー『Nuclear Blaze』を今更やった。
短期間での開発と自分の小さな子供へ向けたゲーム…という明確なコンセプトの基に作られたザ・職人仕事という趣で大変良かった。
贅肉ゼロのメカニクス
「建物中に燃え広がる火を消火する」というシンプルなコンセプトながら、水の管理や火の広がりを考えた戦略性、放水の角度制限を活かしたパズル要素、そして素早い判断が求められる緊張感が融合し、遊びごたえのあるバランスに仕上がっている。
- 水は補給しないと切れるため、無駄撃ちは禁物。
- 火は燃え広がるスピードが速く、プレイヤーの判断力が試される。
- 着地していないと水は出せないので、動きながらの消火には工夫が必要。
- 放水できる角度は限定的で、思うように消火できない場面もある。
…と、ゲームの基本構造は最小限に抑えつつ、スイッチで扉を開ける仕掛け、放水によってバルブを作動させるギミック、さらには電撃に放水すると感電死してしまうといった要素が組み合わさり、巧妙なレベルデザインも相まって飽きさせない作り。
このふたつが巧みに組み合わさり、シンプルながらもプレイヤーに適度な緊張感と達成感を与えるゲーム体験を生み出している。

操作も非常にシンプル。
- Aボタン:ジャンプ
- Xボタン:放水(上下キーを含む)
- Bボタン:ダッジロール
これだけの操作で、火を消して進む爽快感とパズル的な面白さが両立されている。
誇張ではなく「3歳児でも楽しめる」
『Nuclear Blaze』は、開発者(かの傑作『Dead Cells』のリード開発者)が当時3歳の息子のためだけに作ったというエピソードが有名だが、それだけに細部まで丁寧に作り込まれており、納得の完成度を誇る。
その上、細かい難易度設定が用意されており、特に「キッズモード」の手間暇掛けたサポート機能付きの実装は誇張なく3歳児でも遊べる作り。しかし、簡単なモードだからといって、ゲームの魅力や爽快感が削がれることはなく、むしろ誰でも楽しめるような工夫が施されている点が素晴らしい。

燃やすより消す方がゲーム向き
以前、Twitterでゲーム開発者らしき人物が「セガの「消防士」というゲームが売れなかったのは『火を消すより火を付けて燃やすほうが圧倒的に楽しいからだ』」という意見を述べ、それに納得する声も多かった。しかし、個人的には「そうか??」とまったくピンとこなかった。ヒューマンのSFC時代の大傑作『ザ・ファイヤーメン』など、火を消すことが楽しいゲームは多くはないが存在するし、『Nuclear Blaze』をプレイすると改めて「燃やすより消すほうが遊びの幅もあるし、根源的な達成感・喜びも大きいとあらためて実感する。
燃え広がる炎に立ち向かいながら、限られた水を駆使して消火していくこのゲームは、シンプルながら奥深いゲームプレイを提供してくれる。職人芸とも言える丁寧なピクセルアート、気持ちの良い操作感、そしてネコ!

シナリオはよくある災害パニックものかと思いきやツイストがちょっとあるので、そんな点もキッズへのサービス精神を怠らないというニクさ。
ワンスルーだけであれば総プレイ時間は恐らく3時間弱。逆にこの小粒感が嬉しい逸品。
(2021 Deepnight Games)

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