「アッ」 – Dead Space 2(クリア)

Dead Space 2(輸入版)

Dead Space 2(輸入版)

約8時間、難易度Nomalでクリア。

バイオハザードを代表とするホラー系アクションの金字塔を手本とし、それを見事なまでに高レベルで昇華させた前作。そして今作も十分満足できる仕上がりの一品だった。

基本的にDead Spaceシリーズには特筆したイノベーションは存在しない*1。ギミックをSF的なものに模様替えしたパズル要素と、ビックリ箱的なスクリプト、サスペンスホラー調のシナリオがあるだけだ。だけどその一つ一つが、アホみたいにハイレベルのモノで揃えられているんだから、面白くないはずがない。正直な話、遊びとしてやってることは前作とほぼ同じ。それでも、ストレスの少ない設計、誘導の上手いレベルデザイン、SF的おかず要素たっぷりなシナリオ展開のおかげで、僕は最後まで十分楽しめた。

今回は舞台が巨大な宇宙ステーションなだけあって、冷凍室やショップエリア、幼稚園など、視覚的な変化に富んでいる。そしてそれぞれの舞台に合致したスクリプトが組まれ、びっくり箱の連続であっても飽きさせない(幼稚園エリアは正直トラウマもの)。

また、ネクロモーフ(ゾンビ的な敵)との戦闘も、Kinesisを有効活用したPull>射出のオブジェクト利用が加わって、バリエーションに富んだ環境がゲームプレイにダイレクトにリンクするのも良かった。転がるオブジェクトも、ただの雰囲気ものではなく、新しいレベルに到着するたび「何が使えるか?」と意識しだす。この環境利用闘法*2を使いこなせるかどうかで、ゲームの難易度が大きく変わる。

気になった点としては二つ。

まず、先日もここで書いたけど、レベルデザインが洗練されているせいで、ある程度、スクリプトのイベントスイッチや開始のタイミングが読めてしまうこと。もう一つは(2周目用の”ハードコアモード”を除いて)デスペナルティが存在しないこと。

プレイヤーが抱く”恐怖”には、純粋なホラーとしての恐怖感と、「時間の喪失」に対する恐怖感があると僕は考えている。前者に関しては申し分ないほど訴求できているが、後者に関しては、たとえゲームオーバーになってもペナルティは無く、復帰ポイントもかなり細かく刻まれているため、時間のロスもほぼ無い今作では、ほとんど感じる事ができなかった。試しに心の中で「どうせ死んでもすぐ復帰できるからいいや」と唱えてみよう。不思議なくらいに、ゲームへの緊張が薄まるはずだ。

ただ、そういった細かい点を含めても満足度はかなり高い一品だった。3部作(?)の中間作特有の、エンディングの盛り上がりにやや欠けた印象は受けたけど、張られた伏線とその回収(step1, 2, 3, 4…)には唸らされた。良いゲームだなあ、コレ。

おまけ

ゲーム後半。バイオハザードマークの描かれたドラム缶オブジェクトに記された「東京駅」の文字。???

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ジャンプ・アタック・ラスタスクロール – DSi Ware「Shantae: Risky’s Revenge」

以前からビデオゲーム好事家たちが注目していた、北米/欧州向けDSi Wareタイトル「Shantae: Risky’s Revenge」がついにリリース。

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一度敗れた者達の”Revenge”

開発元のWayforwardは、日本ではほぼ無名だったが、2007年、「Contra 4」を開発したことで一躍(とは言っても極一部で)有名になったデベロッパー。実は歴史のある会社で、古くはWin95/ゲームボーイ時代から主にライセンスソフトの開発を行い、手堅い作りで定評がある。なお、今年設立20周年を迎えている。

実はWayFowardが「Shantae」を出したのは初めてではなく、ゲームボーイカラー用として、第一作を開発・発売している。そのGB版が非常に好評だったこともあり、WayFowardはすぐさま続編としてGBA版の開発に着手。しかしこのGBA版は諸事情で開発停止の憂き目にあってしまう。

しかし自社オリジナルIPであるShantaeへの思い入れは当然ながら強く、パブリッシャーが見つからないなら自前で出そう、と覚悟を決めたWayFowardは、プラットフォームをDSi Wareとし、作品をリリース。それが本作「Shantae: Risky’s Revenge」だ。

日本で遊ぶためには

この作品を日本で遊ぶには、なかなかに高いハードルを越える必要がある。具体的には以下の2点。

  • 北米版のDSi または DSi XL
  • 1200ニンテンドーポイント

まず、北米版のDSi、もしくはDSi XLを購入しよう。ストアへの接続は、完全にハードの設定依存のため、これを買わなければ北米のストアページへのアクセス手段がない。

次に、ニンテンドーポイントの購入。こちらはいくつか方法がある。輸入ゲームショップでポイントカードを購入しても良いし、maximuscards経由で購入してもいい。ちなみにクレジットでダイレクト購入する場合は、zipコードの確認が入るため、適当な住所とzipコードを入れても、そこで弾かれてしまうので注意が必要。

さて、こんな思いまでして購入した「Shantae: Risky’s Revenge」。果たしてその出来はどうだったか。

死に体ジャンルを背負った最高の”Revenge”

一言で言うと、このゲームは僕達のために作られたゲームだ。僕達が「Contra 4」で見せつけられた綺羅星の輝きは決してマグレでは無かった。

ジャンプ制御の自然さ・緻密さ、アタックの豊富さと戦略性、色気溢れる自キャラ/敵キャラのアニメパターン。精密かつ丁寧に打たれた背景のドットとレイヤ構造。徐々にアンロックされるスキル設計と、アンロックのタイミングを計算した”前見せ”を含む多重の”なぞり”を意識したレベルデザイン。

そして細部の様々な所で見せてくれる、先人たちへのリスペクト溢れるオマージュの数々。

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僕は「Contra 4」がリリースされたときTwitterでこう書いた。「コナミ以上にコナミの血を受け継ぐ、青い目をした日本人が作り上げた奇跡の一本」だと。これは間違いだった。

奇跡は二度は起こらない。WayForwardは我々日本人が得意とした2Dアクションの勘所を完全に己の血肉とし、実に手堅く安定したクオリティのプラットフォーマーを作りだせる、素晴らしいゲームスタジオだった。

受け継がれた血脈

かつてこの国のゲーム業界が作り、洗練させた「2Dアクション」というジャンルは、花火のようにドデカい傑作を数々打ち上げ、ゲーマーたちの青春を華やかに彩った。しかし時代は移り変わる。花火を観に来た客達は多様化した。彼らはさらなる花火演出の派手さを、費用対効果を、または花火ではなく出店やコンパニオンの充実を求める者達さえいた。

はじめに観に来た花火客たちは、後から打ち上がるそれらを観て、もちろん楽しみはしていたが、どこか寂しさを感じ、かつての花火を懐かしむ。

最初の花火客とはもちろん、僕(または僕達)のような人間の事だ。情緒にあふれ、細部に職人のこだわりを見せる、昔ながらの花火を待ち続けた者達が見上げる夜空を、「Shantae: Risky’s Revenge」はまばゆく煌めかせる。打ち上がったのは海の遙か向こう側。何千キロ離れたこの地からでもはっきり見える。

花火大会はまだ終わってなかったよ。

Nintendo DSi Matte Blue(輸入版:北米)

Nintendo DSi Matte Blue(輸入版:北米)

火曜日は大体どこも定休 – 盆栽バーバー

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子供の頃、毎週水・土曜日は母親の勤務する理髪店にいた。仕事の終わる18時まで、小学校の図書室で借りた本*1を読んだり、自分の知らない誰かの髪を切る母親の手さばきをボンヤリ眺めたりして過ごした。

そんな僕だもんで、床屋ゲームにはちょっとうるさい。

「盆栽バーバー」はその名の通り、Wiiリモコンのポインタと傾きを利用し、盆栽(というか葉の茂った何か)に生えた枝葉を刈る、ただそれだけ。

プレイヤーはとある田舎町の”バーバー”に勤務する理髪師。バーバーには毎日、様々な要望を持った5人の客が訪れる。プレイヤーはその要望に応えた髪型にするべく、リモコンをハサミ・櫛・絵筆に替えながら粛々と仕事をしていく。

ゲーム構成の8割以上を占める部分なだけあって、「枝葉を刈る」仕様はかなり良くできていて、その行為だけで十分気持ちいいフィードバックが得られる。枝一本一本にちゃんと判定があり、客の髪質・生え方によって、何度もハサミを入れなければ切れない場所や、逆に薄くなっていて切りすぎてしまう事も多々ある。また、(ここが一番感動した所だけど)ちゃんと整えたと思った頭に対し、逆上げるように櫛を通すと、それまで寝ていた枝葉が伸び、またハサミを入れる必要性がでてくる。

この一連の作業を遊んでいて急に思い出したのは、冒頭の幼少時の記憶だった。思えば母親も、同じようにして髪を整えてたっけ…。

他にも褒めるべきポイントは色々ある。実時間に連動し、一日5人までしか遊ばせない仕様や、過剰なリアクションでプレイヤーに心理的報酬を与え続けるキャラクター。そして全体のグラフィックデザインと、これまで僕が遊んだWiiウェアの中ではダントツ白眉のタイトル。

だって、これのおかげでWiiリモコンがやっと心から好きになれたくらいだもの。

盆栽バーバー


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ニンテンドーポイントプリペイドカード 1000

ニンテンドーポイントプリペイドカード 1000

*1:3階の図書室は主に児童書や小説、4階は図鑑や資料系。僕は4階の図書室にあった、城や大型機械の断面図が描かれた本が大好きだった

He came back – メタルマックス3

メタルマックス3 Limited Edition

メタルマックス3 Limited Edition

メタルマックスが帰ってきた。

僕がこのシリーズに出会ったのは中学1年の頃。学校のすぐ横にあったゲーム屋。「スーパーボンバーマン」売った2500円を元手に「2」を買ったのがはじまりだった。

いきなり焼き殺される育ての親。生身で戦うと勝つことがほぼ不可能な敵。戦車を入手したときの高揚感。その戦車の幅広く奥深いカスタマイズ性。ドラム缶。金属探知機を使い、フィールド中の埋もれたアイテムを探す楽しさ。ガム。さきわれスプーン。ドラム缶。

もう本当に気が狂うかと思った。野郎の夢である戦車・改造・文明の崩壊した世界*1。そのすべてがどうしようもないくらい面白くて楽しくて、全く初めてのエクスペリエンスが洪水のようにブラウン管から僕に降り注いだ。カートリッジにぎっしり詰まった開発者達の熱量はコントローラから伝い、脳の奥底に深く刺さり込んだ。その病状は、戦車のパラメータの効果の研究*2やモンスターのドロップ率の調査をする程に重かった。

今思えば僕がゲーム作りに本格的に興味を持ちだしたのはそれが最初だったように思う。

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それから10数年。僕はそのとき煩った病気が元で、ゲーム開発会社のディレクターになった。そしてメタルマックスはと言えば、開発元のデータイーストが消滅し、権利関係のゴタゴタに巻き込まれながらも「メタルサーガ」と名を変え、断続的に新作がリリースされた。

しかしそのどれもが、技術不足やシステムの未熟さが目立つものばかりだった。オリジナルの開発者が作った「鋼の季節」ですら、オールドスクーラー達を満足させるものではなかった*3

「もう期待するのはやめよう。メタルマックスは死んだ」

この呪われたタイトルが復活することは二度と無い、誰もがそう思っていたであろう2010年7の月、17年ぶりのナンバリングタイトル「メタルマックス3」が届けられた。

もう本当に気が狂うかと思った。中学生時代の僕が心焦がれたビデオゲームの空気がそのまま、DSの2画面の中にあった。いきなり放り出され、何をすればいいのか全く教えてくれない強烈な父性。貧乏は無力である事を体現したバランス。世界観を語るためだけに存在する大量の無意味アイテム。すぐ死ぬ犬。それらすべてが僕らオールドスクーラーには懐かしく、また今の時代では新鮮に感じた*4

進化がない、懐古野郎向けのゲーム、思い出補正。正直そんなことはどうだっていい。面白ければそれでいい。それで売れればもっといい。確かにこのゲームには、ファン目線で見たとしても仕様上の欠点は大小いくらでもある。UI設計やら、コリジョンの判定やら、シャシー改造の仕様上の欠陥やら、僕らのようなゲーム屋はそういう所がどうしても目に付くし、講釈垂れたくなる気持ちだってわかる。

それでも僕はメタルマックス3を愛している。29歳になり、腰痛に悩まされる小汚いおっさんの心を、13歳の毛の生えたての子供の時と同じように朝まで遊ばせる熱量がある。ワールドマップ全部を踏破し、調べ尽くそうと思わせる熱量がある。

どれだけ待たせたと思ってるンだよ面白いじゃないか馬鹿野郎!

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*1:ポストアポカリプスものの金字塔、Fallolutが北米で登場するのはこの四年後だ

*2:子供なので精度は低い

*3:とはいえ、個々のシステムでは意欲的なチャレンジも行われていた。その点は評価したい。

*4:2010年の今、若いゲーマーには新しいゲームプレイが待っているだろう

さらば青春の輝き – 風来のシレン4 -神の眼と悪魔のヘソ-

不思議のダンジョン 風来のシレン4 神の眼と悪魔のヘソ

不思議のダンジョン 風来のシレン4 神の眼と悪魔のヘソ

ひとまずメインのダンジョン「エメラルドパレス」を踏破。

これまで10数時間遊んで抱いた印象として、ゲームそのものの完成度としては、シレンシリーズの中でも会心の出来。個人的には初代・月影村に並ぶ高バランスの一本だと言える。

武器・盾のロストを(ある程度)予防できる”タグ”と、復活と脱出を兼ねる”やりなおし草”など、ベース部分での難易度を落としつつ、一歩先で常に死の危険を作る「夜」によって定期的にシビアな状況を作り出す。この「夜システム」による難易度の揺らぎは、ゲームに適度な緊張感を与え、手練のシレンジャーをも脅かす。

また、武器・盾の「成長」も、あらゆる場面でプレイヤーの”選択”を作り出す良システム。使い込む事で強くなる気持ちよさと、コレクタブルな楽しさも内包し、基本のゲームプレイとの親和性がかなり高い。

しかし、個人的に非常に不満だったのは、ゲームに登場するNPCの扱いがぞんざいすぎる事。シレンはゲームの表現・システムの設計上、世界がもの凄く狭い。モンスターを除き、登場するNPCはおそらく100キャラ前後。この数は他のゲームからすると圧倒的に少ない。

だからこそ、1キャラ1キャラに丁寧なセリフやバックボーン、個性付けが出来る。これまでのシレンは、この極めてミクロな世界だからこそ、細かなディテールまでデザインされた世界観や人間関係、村々の空気すらも感じることができた。この大傑作が生まれたのも、この人間臭いNPCたちの造型があってこそだった。

NPCに話すたびに表示される「男」「娘」「若者」の血の通っていない文字列。ナオキやビビンギダ、ケヤキやアモカチといった面々の佇まいとセリフから醸し出される生活感と、リーバ八獣神に見守られ、また弄ばれる運命の妙。この何とも言えぬ愛すべき独特の空気感。それらが本作からは完全にスポイルされている。僕はこれが本当に悲しかった*1

本作「風来のシレン4 -神の眼と悪魔のヘソ-」は世界観やキャラのオリジナリティ、言語センスの輝きは失われてしまったが、ローグライク/シレンという遊技としては完成度の高い佳作であることは間違いない。クリア後のダンジョンも個性と戦略性が両立したものばかりだ*2

シレンジャー、そして厳しい状況が続くチュンソフトに、旅の神クロンの追い風が吹かんことを。

*1:そして図鑑などのテキスト周りの品の無いネットスラングの乱用。正直本作のテキスト周りの担当者は低俗で志の低いクソ野郎だ。

*2:個人的には「二撃の洞窟」が好み