ジャンプ・アタック・ラスタスクロール – DSi Ware「Shantae: Risky’s Revenge」

以前からビデオゲーム好事家たちが注目していた、北米/欧州向けDSi Wareタイトル「Shantae: Risky’s Revenge」がついにリリース。

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一度敗れた者達の”Revenge”

開発元のWayforwardは、日本ではほぼ無名だったが、2007年、「Contra 4」を開発したことで一躍(とは言っても極一部で)有名になったデベロッパー。実は歴史のある会社で、古くはWin95/ゲームボーイ時代から主にライセンスソフトの開発を行い、手堅い作りで定評がある。なお、今年設立20周年を迎えている。

実はWayFowardが「Shantae」を出したのは初めてではなく、ゲームボーイカラー用として、第一作を開発・発売している。そのGB版が非常に好評だったこともあり、WayFowardはすぐさま続編としてGBA版の開発に着手。しかしこのGBA版は諸事情で開発停止の憂き目にあってしまう。

しかし自社オリジナルIPであるShantaeへの思い入れは当然ながら強く、パブリッシャーが見つからないなら自前で出そう、と覚悟を決めたWayFowardは、プラットフォームをDSi Wareとし、作品をリリース。それが本作「Shantae: Risky’s Revenge」だ。

日本で遊ぶためには

この作品を日本で遊ぶには、なかなかに高いハードルを越える必要がある。具体的には以下の2点。

  • 北米版のDSi または DSi XL
  • 1200ニンテンドーポイント

まず、北米版のDSi、もしくはDSi XLを購入しよう。ストアへの接続は、完全にハードの設定依存のため、これを買わなければ北米のストアページへのアクセス手段がない。

次に、ニンテンドーポイントの購入。こちらはいくつか方法がある。輸入ゲームショップでポイントカードを購入しても良いし、maximuscards経由で購入してもいい。ちなみにクレジットでダイレクト購入する場合は、zipコードの確認が入るため、適当な住所とzipコードを入れても、そこで弾かれてしまうので注意が必要。

さて、こんな思いまでして購入した「Shantae: Risky’s Revenge」。果たしてその出来はどうだったか。

死に体ジャンルを背負った最高の”Revenge”

一言で言うと、このゲームは僕達のために作られたゲームだ。僕達が「Contra 4」で見せつけられた綺羅星の輝きは決してマグレでは無かった。

ジャンプ制御の自然さ・緻密さ、アタックの豊富さと戦略性、色気溢れる自キャラ/敵キャラのアニメパターン。精密かつ丁寧に打たれた背景のドットとレイヤ構造。徐々にアンロックされるスキル設計と、アンロックのタイミングを計算した”前見せ”を含む多重の”なぞり”を意識したレベルデザイン。

そして細部の様々な所で見せてくれる、先人たちへのリスペクト溢れるオマージュの数々。

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僕は「Contra 4」がリリースされたときTwitterでこう書いた。「コナミ以上にコナミの血を受け継ぐ、青い目をした日本人が作り上げた奇跡の一本」だと。これは間違いだった。

奇跡は二度は起こらない。WayForwardは我々日本人が得意とした2Dアクションの勘所を完全に己の血肉とし、実に手堅く安定したクオリティのプラットフォーマーを作りだせる、素晴らしいゲームスタジオだった。

受け継がれた血脈

かつてこの国のゲーム業界が作り、洗練させた「2Dアクション」というジャンルは、花火のようにドデカい傑作を数々打ち上げ、ゲーマーたちの青春を華やかに彩った。しかし時代は移り変わる。花火を観に来た客達は多様化した。彼らはさらなる花火演出の派手さを、費用対効果を、または花火ではなく出店やコンパニオンの充実を求める者達さえいた。

はじめに観に来た花火客たちは、後から打ち上がるそれらを観て、もちろん楽しみはしていたが、どこか寂しさを感じ、かつての花火を懐かしむ。

最初の花火客とはもちろん、僕(または僕達)のような人間の事だ。情緒にあふれ、細部に職人のこだわりを見せる、昔ながらの花火を待ち続けた者達が見上げる夜空を、「Shantae: Risky’s Revenge」はまばゆく煌めかせる。打ち上がったのは海の遙か向こう側。何千キロ離れたこの地からでもはっきり見える。

花火大会はまだ終わってなかったよ。

Nintendo DSi Matte Blue(輸入版:北米)

Nintendo DSi Matte Blue(輸入版:北米)

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