Far Cry 5 (Ubisoft Entertainment 2018)
サイドクエスト含み一通り全要素ワンスルー。
途中ダラけたり愚痴りながらも最後まで”やれちゃう”のは流石というかいつものUBI。
今作の敵は武装したカルト教団。モンタナ州にある地方土地を買い占め、来る「終わりの日」に向けて準備を進め、周辺の住民達を脅かしている、という設定。黒幕である教祖が(2010年代以降の)マシュー・マコノヒーっぽい。
そこにプレッパー(終末に怯え、備蓄やサバイバル生活を行う・準備する人たち)や薬でゾンビ化された信者、ちょっと頭のおかしいNPC(仲間含む)を混ぜたのが今作の特徴。全体的に、ここ数年のアメリカの「空気」―排外主義、差別主義、終末思想など―を反映して作られたであろう事は想像に難しくない。
ゲーム内の教団「プロジェクト・エデンズゲート」の元ネタは恐らく人民寺院あたりだと思うが、いまいち行動原理だったり、信者が殺人を含めた暴力的な行動を日常的に行っている理由がはっきりしない。コミューンといいつつ生活感がまったくない(そもそも子供がひとりもいない)のも理由は判るがイマイチ。このあたりの批評はWIREDの秀逸な記事が詳しいのでそちらを参照。
ゲームプレイはAAAのオープンワールド / フリーロームのゲームとしてベーシックかつ高いレベルの出来。良くも悪くも、前述通り”やれちゃう”クオリティ。みんな大好き(俺も大好き)釣りもあるし、野生動物狩りもある。
といいつつ今作でものすごく不満なのはメインクエストが半ば強制的に進行してしまう点。しかもフリーローム・サイドクエスト関係なく挿入されるのが強烈な違和感。シナリオ、設定的に入れたい・強制になってしまうのは理解できなくもないのだが、それはフリーロームの良い所を完全にスポイルしちゃうだろうがよ…という気分に何度もなる。そもそもゲーム側がクエストを提示こそすれ、プレイヤーが「(今は)これをやる」と能動的に目的を設定するフリーローム型のタイトルに、最優先タスクの強制挿入が常態化するのは流石に作りとして上手くない。
それもあって、このゲームで輝くのは『ファークライアーケード』モード。付属のレベルエディタを使ってプレイヤーが作成したステージをプレイできる、という昨今珍しくもないモードだけど、これが本編の不満も相まって良い立ち位置に収まっている(対戦はまた別)。
Far Cryシリーズの根源的な面白さ、初代の時点で完成されていた「敵陣地遠方から双眼鏡で索敵&マーキング、そこから戦略を練って処理する」ステルスとアグレッシブなシューターがいい塩梅に混ざったゲームプレイ。それがコンパクトな構造、余計な要素がないコア部分のみだけ断続的にプレイできるこのモードはとても良い。
起動からプレイまで数秒でできたらもっと良いのだけど、これはまあここ十数年のコンシューマゲーム業界全体の問題・検討事項ということで。
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