今年は本当にいろいろあった。
永遠のvaporwareだと思っていた『人食いの大鷲トリコ』と、もはや懲役刑のような開発期間10年の『Final Fantasy 15』がリリースされ、あの任天堂が自社ハード以外でマリオを出すなど、ちょっとした転換期のような一年だった。
自分はといえば、例年通りDota2ばかり遊んでいたら熱くなりすぎて10年来の親友にマジギレされて全SNSでブロックされたり(後に和解)、10代後半から20代前半のころ仲良くしていた音楽仲間のひとりが死んでしまった事を半年遅れで知ったり、自分の生活圏内に嫌いな元上司が家を買ってニアミスしまくりだったり(これがどれだけ最悪か、ちょっと想像してみてほしい)、その他日本に住んでいることが嫌になるようなことが毎日のようにあったり。本当にいろいろあった。
以下、例によって今年プレイしたゲームは以下(順不同)。ちなみにVR系タイトルは借りたり友人宅でちょくちょく定期的に触っているものの、まだ自分では所有してない(ホントごめん)ので除外。
PC
- Devil Daggers
- NALOJNICA Harbour Princess(NSFW)
- Axiom Verge
- Assault Android Cactus
- Downwell
- Salt and Sanctuary
- INSIDE
- quadrilateral cowboy
- Life is Strange
- Dota 2
- Battlefield 1
- Mother Russia Bleeds
- Battlerite
- Planet Coaster
- Dark Souls III
- Tom Clancy’s The Division
- Overwatch
- DARIUSBURST Chronicle Saviours
- Raiden IV: OverKill
- Batman: Arkham Knight
- Batman: Arkham Origins
- Teslagrad
- Sacred Citadel
- Fallout 4 (DLC)
- Freedom Planet
- Titan Quest Anniversary Edition
- Elite: Dangerous
- Iron Brigade
- Pillars of Eternity
- INSIDE
- ぼりじん
iOS
- Dungelot: Shattered Lands
- Pokemon GO
- FF EXVIUS
- クラッシュロワイヤル
- Lego: Marlock2.0
- マビノギデュエル
- Solitarica
- Marchant
- Super Mario RUN
- Buriedbornes
- Microsoft Solitaire Collection
PS4
- ペルソナ5
- Final Fantasy 15
- No Man’s Sky
- アンチャーテッドR 海賊王と最後の秘宝
PS Vita
- Neo ATLAS 1469
- 新釈・剣の街の異邦人 ~黒の宮殿~
今年はいくつか、ちょっと真面目に勉強したいことがあったので、それに時間を割いたり、昔のアニメを観てみたり(じゃりン子チエ、マジで最高)、満を持して『男はつらいよ』全作品にチャレンジし、山田洋次の天才っぷりに震えたりしてたので、遊んだ本数は例年以上に少ない。
その中でも自分的に心を動かされたタイトルが何本かあるので以下に記す。
Persona 5
ちょっと恥ずかしいことに、起動した瞬間からしばらくの間、リアルに震えてしまった。起動一発目、違法配信に対するアレやセーブメニューはもとより、所謂「この物語はフィクションです」警告ですらも作り込んでいる気概にやられたんだと思う。
ゲームプレイの部分でも、実はペルソナは「2」以来のプレイだったので、その進化の方向性の巧みさとシステムの完成度に感激した(後に基本的には3からずっと同じと聞いて少しだけ安心・がっかりしたけど)こともある。
ここまで開発者達の体温を感じるJRPGは久しぶりに遊んだ気がする。
しかも現世代機、中規模デベロッパーが作った事を考えると、正直ちょっとおかしいくらいの偏執っぷりだと思う。
加えて、ゲームをクリアして感じたのは、開発陣からのお客さん、ターゲット層であるティーンに対して届けようとしている強い意思というか、優しさというか、そういうもの。2016年、辛いことがあまりにも多すぎる日本(というか世界のどこでも)で生きていかざるを得ない若い彼らへ、ただのゲーム以上のものを届けようとする意思を(少なくとも自分は)感じた。
いろいろ説教臭い箇所はどうしてもあるが、それでもきっとプレイヤーの彼らの中にはこのゲームを遊んだことで救われる事があるだろう。自分もプレイ中、プロットが安易だなあとか、行動原理が単純過ぎるとか、何度も引っかかる所はあったけど、それはそれで良いんだと思っている。このゲームは自分ではなく、彼らのためのゲームなんだから。
ちなみに自分は竜司サイコーに好きだよ。
Life is Strange
Life is Strange ( DONTNOD / SQUARE ENIX: 2015)
詳細は以前の記事を参照。
最近はNetflixやhulu, Amazonプライムビデオのお陰で、良質な海外ドラマに触れられる機会が増えた。この『Life is Strange』は、そんなビッグバジェットのドラマ群にも一切引けを取らない圧倒的な体験だった。『ストレンジャー・シングス』『The OA』と肩を並べる一本だと個人的には思っている。
Devil Daggers
「大量に湧きまくる敵を倒しながら、1msecでも長く生き残る」ただそれだけなのに異常な中毒性を誇るのがこのDevil Daggers。
初代DOOMやQuakeの持っていた”狙う” “当てる” “避け”の駆け引きの面白さを換骨奪胎したという点では『Doom(2016)』と同じではある。
だが、素材を活かしつもシステムを大胆にアレンジ、現代風に見事に蘇らせたあっちと違い、こっちはひたすら、しじみ習慣なんて目じゃないくらいに遊びの本質だけを煮詰めまくったマグマの一滴のような代物。
禍々しいビジュアルやサウンドだけではなく、あまりにもピュアで中毒性の高いゲームプレイもまた強烈に悪魔的。
腱鞘炎と眼精疲労がひどくなっても、タイムを更新するまでは止められない。
ゲームプレイはこれを参照。DD界のトッププレイヤー”Sojk”のスーパープレイ。
INSIDE
相変わらずの冴え渡るレイアウトとライティング。(ごく一部を除いて)理不尽さの無い、ロジカルなパズル群。頭蓋骨(本物)を通してレコーディングした素晴らしいサウンド。
このゲームを手に取るプレイヤーを信じ、厚かましさと没入感を阻害するチュートリアル類を一切排した作りも非常に美しい。
内容に関しては正直、何を書いても野暮な気がするのだけど、とにかく最終シーケンスだけは絶対に遊んでおけ、とだけ書いておく。
Final Fantasy 15
Final Fantasy 15(Square Enix: 2016)
10年かかった開発状況が痛いほど理解できる歪な出来で、ずっとカウチに座ってツッコミまくりながらプレイするという稀有な体験ができた一本。
たしかに、ボリューム感と金のかかりっぷりは相当にすごい。特にボイス周り。数合わせに作られたようなサイドクエストすら、セリフが全員分フルボイスで用意されているのには驚く。テーマ曲(?)をFlorence + The Machineに歌わせているのも本当に豪華だ。
しかしゲーム部分は相当ボロボロ。
バトルシステムはコアデザインこそ良いアイデアだが多数との戦闘、特に動きの速い敵との戦いはカオス化し、更に狭い空間(特にダンジョン!)での戦闘はカメラがすごいことになる。
シナリオは内容はいつものFFなので言及するのは野暮。だけどシーン単位のつながりが完全に分断されていて、一本通す事を途中で諦めたかのようなブツ切り具合。シーン毎の開発チームそれぞれは自分たちのパートをしっかり作って納期にアップ、それでパーツは集まったものの、ひとつにまとめる時間が無かった、という事情が透けて見える。
「帝国軍の将校を捕縛しろ」っつークエストクリア後、尋問でもすんのかなと思ったら「逃げられたから今のは忘れて先進もう」ってオチだったのは流石に腰抜かした
— 市井の徒 (@flatage) 2016年12月8日
この、「語りたいスケールと開発リソースの現実性の乖離」はここ数年ずっと日本のゲームについて回っている問題だと思う。FF15はこの初期設計部分で大きなミスをしてしまったように見える。
…とか言いつつも、このゲームを最後までプレイできて、クリアしたときちょっと寂しく感じたのは、何より主人公含む4人にガッツリ感情移入してしまったから。
約50時間、だらだらと車に乗ったり、だだっ広い世界を与太話しながら歩き回り、キャンプで飯を作ったり、釣りの間うしろで延々と愚痴られたり、たまにメインクエストを進めてみたり。
そんな事をやっていたら、自分はどんどんこの4人が好きになっていった。途中からグラディオがホー兄貴に、イグニスがマークに、ノクトがキットに見えてきたくらいだ(ってのはさすがに言い過ぎだけど)。
このゲームは決して傑作ではないし、特にシナリオ全体の構成はゲームとして破綻しているといっていい。アップデートパッチで本編のカットシーン追加で補完します、なんて流石にちょっと冗談だろうと思った。
戦闘システムも遊びとしては面白いがバタバタしすぎだし、多対多では正直成立してないと思う。
クソゲーとして断罪する人の気持ちもよくわかる。
が、自分はこの4人との旅をまだまだ続けたかったし、エンディングの後、あれがハッピーエンドであることを願った。
Quadrilateral Cowboy
Quadrilateral Cowboy(Brendo Games: 2016)
『Gravity Bone』『Therty Flights of Loving』でその天才性を証明したBrendo Gamesこと、Brendon Chungの最新作。
本人曰く、ジャンルは”cyberpunk heist adventure”な本作は、DOS風コマンドを駆使し各オブジェクトをハック、操作し、ステージを攻略していくパズル性の高いアドベンチャー。
コマンド自体はかなりシンプルなので、覚えてしまえば非常に簡単。
例えば監視カメラに気づかれずに、ドアロックされた部屋の中のアイテムを盗みたいとしたとき、監視カメラ(cam2とする)を一定時間(8秒)切る(off)コマンドを入力、その先のドア(door4とする)を開けてみる。
cam2.off(8); door4.open(4);
とするだけ。ゲームが進むに連れ、制御できるオブジェクトが増えたり、複数カメラを一気にハックするとアラートがでたり、ハックできる時間に制限ができたりといった難易度上昇がパズル的にもロールプレイ的にも非常に刺激的。
更にBrendon得意の画作りと演出は今作でも冴え渡る。画像を見る通りキャラクターは従来どおりのブロッキーでローポリなアセットだらけなのに、一切チープさがないどころか、むしろ下手なAAAのSFゲームよりも滅茶苦茶かっこいい。
サイバーパンク野郎は絶対遊ぶべき。
それ以外にも一般層(しかも相当浅い層にまで)にクラスベースのFPSを浸透させた『Overwatch』、初代の面白さを見事なまでに換骨奪胎しモダンにアレンジした『DOOM(2016)』、ダークソウルの2D版をたった2人で作った(アクションのソリッドさでは本家に勝ってると思う)『Salt and Sanctuary』、他にもいろいろ良質なゲームがあって、今年は数年ぶりの豊作だったと思う。
ちなみに『人喰いの大鷲トリコ』はまだ開けてない。
終わりに
つい2,3年前まで、「たぶん死ぬまでゲームやってるんだろうな俺は」と思っていたけど、最近はそれに自信が持てなくなっている。実際、普段の自分だったら、ソッコーで自分用のVR環境を整えていただろう。この点は(誰に対してかわからないけど、多分自分自身に)申し訳無いし、恥ずかしさすら覚える。
そういう意味でも、来年も今年くらいゲームを遊んでいられるのか、それともソリティアばっかりやってるのかはちょっと分からないし、不安でもある。
ただ、来年もいつもと同じように、必死でビデオゲームを作っているのはきっと変わらないだろう。ビデオゲームとお客さんにとても誠実で信頼できるクライアントと仕事ができているお陰で、開発は今も死ぬほど楽しいし、誇りを持っている。クソみたいな事に手を染める同業者もいるみたいだが、自分はこの「矜持」を灯に道を照らして、お客さんのためにゲームを作っていきたいと思う。
来年もよろしくお願いします。
Staygold, Ponyboy.をもっと見る
購読すると最新の投稿がメールで送信されます。