FEZ前夜

FEZ (Polytron Corporation 2012)

インディーゲーム最後の巨人である「FEZ」のリリース日がついに決まった。4/13にXBLAにて配信開始。日本語ローカライズも行われたようで、おそらく日本のXBLAマーケットにも投入されるだろう。しかし、発売まで本当に長かった。

僕が初めてこのゲームの存在を知ったのはおそらくもう4年くらい前。当時インディーとしては異例とも言えるほど、各種タイトルを総ナメした「Braid」のリリース前後の事だったように思う。日本では今さら、しきりに「インディー”ズ”ゲームがスゴイ!」(この”ズ”が本当に気持ち悪い!)的にもてはやされているけれど、2006年あたりから、才気ある若者たちが作った素晴らしい作品が沢山発表されていたのだった。僕は幸運にも、その頃にインディーシーンの凄さに気づくことが出来ていて、リアルタイムで素晴らしいゲームに触れることができた。「Journey(邦題:風ノ旅ビト)」で有名なthatgamecompanyの前身である、南カリフォルニア大学の開発チームが作った「Cloud」(2006)、シンプルさと革新性を兼ね備えた傑作「The World of Goo」(2008)、Samorostで一躍有名になった、個人的に今最もクリエイティブな世界を作る事のできるゲームスタジオamanita designの「Machinarium」(2009)…と、挙げたらキリがないんだけど。

で、その中でもスクリーンショットと単純なビデオだけで、「FEZ」は光っていた。ローレゾ風グラフィックは当時から少なくなかったけど、そこにオリジナリティと洗練されたアートワークが確立できていたのは、これと「superbrothers sword & sworcery ep」くらいだった。

そんなFEZだったんだけど、待てど暮らせど全然リリースの目処は立たない。映画「Indie Game: The Movie」でスポットの当たった「Braid」「Super Meatboy」はとっくの昔に発売されて大ヒット。その間には、”あの”「Duke Nukem :Forever」まで発売されちゃったりして。

そして今年の1月頃、ついに開発のPhil Fishから「マスターした」という報告がweb上であり、マイクロソフトの承認待ちフェイズに入って、いよいよ発売か!と思ったら、あの事件が起こった。

Your games just sucks.

もう国内外で腐るほど話題にあがったし、今更詳しく説明しないけれど、この発言をしたPhilの心には日本のゲームへのアンビバレンツな感情が渦巻いていたんだろうと思えて仕方がない。もちろん公の場で、初対面の同業者に対して言うような言葉ではないし、乱暴すぎるとは思うけど、

こんなゲームを作った人間が、元から日本のゲームが大嫌いだったとはとても思えない。ここまで強烈にゼルダからの影響を受けまくって、その「気概」を消化できているゲームを作った人間が。

今の日本のゲームはクソなんだ、と彼は本気で思っているかもしれない。だけど本当は大好きでいてくれた筈だ。質問者の日本人開発者はFF13のコアメンバーだったらしいけど、その言葉を言わせてしまったのは誰が悪いのか、Suckと言われた日本でゲームを作っている僕自身も肝に銘じる必要がある。

とはいえ、実際にこのFEZが面白くなかったらPhilはただのクソ野郎だ。ゲームを作る人間は、あくまでアウトプットした「ゲーム」のオマケでしかない。元殺人犯だったとしても、涙を流すくらい最高なゲームを作る事ができたなら、僕はその人間を心から尊敬するし、それが吐くほどつまらなかったとしたら、どんなに人間が素晴らしくても、開発としてはクズなんだから。

すべては4/13。会おう。モニタの前で。

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