[ポータルガン発射(サブ)]
- 出版社/メーカー: エレクトロニック・アーツ
- 発売日: 2011/05/19
- メディア: Video Game
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このゲームは2011年のGoTY最有力候補のみならず、向こう10年でも燦然と輝く作品となるだろう。少なくとも、僕のゲーム人生(開発としても、ゲーム好きとしても)において、Deus Exと並ぶマスターピースとなった。余りにも素晴らしすぎて、クリアした瞬間、居ても立っても居られなくなって、夜中の2時過ぎに同業の友達へ電話してしまった。
しかし本当に前作「Portal」で受けた感動と衝撃を再び感じさせてくれ、そしてそれを越えさせてくれるとは思ってもみなかったよ。
美術品「Portal」
前作「Portal」はひとつの小さな発明「空間を開き、繋げる」を軸とし、いかにそれを生かし、プレイヤーに理解させ、またゲームとして楽しませるか、を、これ以上ない程に美しくまとめ上げた小さな傑作だった。ミニマルになってしまうステージクリア型パズルを遊ばせる事の必然性を生み出すために作られた世界観とシナリオは、”理由付け”としてだけでなく、プレイヤーに感動すら与えてくれた。コンパクトなゲーム構成の中に完璧に収まり、各要素が有機的に繋がった作りは今でもため息がでてしまう。侘び寂びって、こういう事を言うんだろうな。
「笑い」という新しいレイヤー
だからこそ、どれだけ続編が作りにくいか、カンのいい人は解るはずで、僕を含め、不安を声にする人は少なくなかった。特にシングルキャンペーンでは、同じようにパズルを連続して攻略していくスタイル自体は変えようがない。普通に遊ばせるだけではただのマップ追加パックの域を出られない。
ここで「Portal 2」が取った戦略は、探索スケールの拡大とビジュアルの多様化、そして「笑い」というレイヤーを追加/強化する事だった。特に「笑い」についてはもうムカつくくらいシナリオと演出に効果を発揮。僕がどれだけGLaDOSとWheatleyとタレットと欠陥タレットとポテトに心奪われたか!!ダイアログを一つ残らず見るために、10分近く1カ所に立っていたことも少なくない。
この笑いの要素を全体に強くちりばめた事で独特の空気感を獲得したのはもちろん、プレイヤーへの感情の揺さぶりの幅が凄まじく広がった。毒蝮三太夫ばりの面白毒舌ギャグでプレイヤーを弛緩させていたかと思いきや、いきなりゾッとする発言や演出が挿入される。正直下手なホラーゲームよりもビクつくし、恐怖した事が何度もあった。このギャグとマジのブレンド具合と、イベント挿入の絶妙すぎる唐突さ。スクリプト演出を連綿とお家芸としてきたValveの真髄を久々に見た気がした。
「ポータル開閉」から絶対にブレないデザイン
アドベンチャー要素がかなり強くなった本作では、これまでの密閉された空間を飛び出し、様々なロケーションを歩き回ることが出来るようになった。しかしそれでも、ゲームのコアである「ポータルの開閉」ギミックをレベルデザインの核から外さない。廃ビルのような場所でも、工場跡でも、遊びの基本は「ポータル開閉」だ。
そしてその徹底具合で本当に感動したのは、キャンペーンの最終レベルからエンディングまでのシークエンス。詳しいことは言えないけれど、「Portal」でなければ出来ない怒濤の展開とどんでん返し。もうホントに最高すぎて、今でもちょっと泣きそうになる。
どれだけ素晴らしかったかというと、時間操作ADV「Braid」*1の最終ステージと同じくらい。それはどちらも「このゲームじゃなきゃ出来ない」演出だったから。完璧すぎる終わらせ方だ。
Now I Only Want You Gone
というワケで、素晴らしい脳が疲れる系パズルとアクション、笑い、皮肉、ミステリー、ホラー、可愛いオブジェクト、ポテト、カラスがこの$49のゲームにはギッシリ詰まっている。Co-opモードの面白さも折り紙つき。君がこのゲームを遊んでくれたら、と僕は願ってやまない。我々とともに、科学の進歩に貢献しよう。
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