例えば赤ちゃんが生まれたら小学校一年生になるくらい。はやぶさだったらイトカワに行って帰ってくるくらい。セミだったら幼虫が土からでてくるくらい。ハリウッドだったら、新婚だったビリーがマリリンと浮気したくなっちゃうくらい。そして例えば浣腸だったら、された人間が死んでしまうくらいの長い時間。それが7年。
というわけで、Hermann H.& The Pacemakersが活動休止してから7年ぶりの再結成ライブに行ってきたわけだけど、まあこれが凄かった。本当に凄かった。お客さんは僕を含め20代後半から30代、それも女の子(って言っていいのかわからないけど)ばっかり。たぶん活動のピーク時に熱心に通っていたファンがそのまま全国から集まってきた、そんな感じ。それがあんなにバカスカ踊って、歌いまくってモッシュして、クラウドサーフ(これは一人だけだったけど)しまくって2時間近く暴れまくったんだもの。
初っぱなから”東京湾””Come on,Ha!!””エアコン・キングダム”っつう、かつてのライブでは4番クラスの曲をぶっ込んで、客はもうみんな気が狂ったように踊っていた。みんな曲をしゃぶり尽くした奴らばっかりなもんだから、まあ歌う歌う。アホみたいなテンションでリキッドがアホみたいにビリビリ揺れる。しかしまあ、みんな全然変わらないのがすごかった。ウルフ(ハピマンのベズと思ってください)は休止後普通の会社員してたってのが不思議なくらいの変わらなさ。往年の赤ジャージを着込んで踊り狂う姿に客も狂う。このライブの楽しさは本当に替えがきかないなあ。
“Runaway Song”では客演のグローバー義和(自身も異常なヘルマンファン)が上がりきったフロアをさらに上げたり、初期の曲を中心に持ってきたセットリストとか、周りのみんなが失神しちゃうんじゃないかってくらい、踊り狂ってた。
で、wアンコール。岡本が「ギタリスト、平床政治!」の瞬間、もうみんな大号泣。リキッドの中、悟空がスーパーサイヤ人になった時のナメック星みたいにバリバリバリバリ揺れたもん。当時平床があんな形で脱退して、今回のライブでも集まらなかったって聞いて、集まったみんながどこか心に引っかっていた問題がこんな最高の形で抜けちゃったんだもんな。分かるよ。僕もちょっと泣いた。
元々ヘルマンってのは、岡本をベースとする”サザンをルーツにもった歌謡曲的な要素”と、平床の持つ”USインディー的センス”が混ざった合挽肉を、メタルやらロカビリーやらスカやら、好き勝手に飄々と異常にカッコよく料理するバンドだったわけで、その素晴らしさったら無かった。だからこそ平床が脱退する時、あんなにメンバーが周りを気にせずに動揺して泣いてしがみついたんだろう。
だからこそ、あのアンコールで平床が帰ってきて、ギターを弾いて、岡本と笑い合って「One,Two,Three,Four」って歌ったときにみんなボロッボロに泣いたんだろう。”とら”が潮のもとに帰ってきた「うしおととら」のように、神龍の力で復活したクリリンを泣いて抱きしめた悟空のように、メドローアを覚えて帰ってきたポップのように(マンガばっかりでごめんね)、一緒にいるべきヤツらが揃った時のロマンってのがある。雨がザーザー降ってる2月の寒い夜、7年(実際はもっと長い間)の間決して良好な関係性じゃなかったはずの二人がライブであんなに楽しそうに演奏して、平床の胸に小さくパンチした岡本の照れくさそうなあの姿を観ちゃったらさあ。もう何にも言えないよ。なあ。
瞳は空を吸い込んで 涙の色は水色に
言葉の果てに雨が降る
言葉の果てに雨が降る
空から落ちる雨はまるで
瞳を滑る 涙のよう
セットリスト
- 東京湾
- Come On,Ha!!
- エアコン・キングダム
- Runaway Song
- Loser’s Parade
- Beat Mania
- クラッシュ
- 言葉の果てに雨が降る
- あまつゆのバラード
- アクション
- Rock It Now!
- En.
- サマーブレイカー
- 無能の行方
- fruity machine gun
- En.2
- One,Two,Three,Four
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