Innocence from 「GTA: San Andreas」

Grand Theft Auto: San Andreas (Limited Edition) UK (輸入版)

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Don't Be Cruel

Don’t Be Cruel

今はもうそんな事はなくなってしまったけど、15年くらい昔、毎年夏になると、家族全員で祖母の住む茨城に遊びに行くのが決まりだった。

帰省ラッシュを避けるため、朝の3時頃、僕ら兄弟はたたき起こされて、半分眠ったまま母親の作ったおにぎりを食べて車に乗り、父親は缶コーヒーを飲みながらまだ真っ暗な横浜を進む。夜中の3時に車の少ない高速を走っていくその感じと、目に入ってくる普段見ない街の表情は、僕ら兄弟をワクワクさせた。

父は当時、ニュージャックスウィングがお気に入りで、自分だけのmixテープを作ってよく流していた。窓の外で定期的に流れる高速道路の灯りをぼんやり眺めながら、久保田利伸やGuy、Bobby Brownを耳にしたのを今でもよく覚えている。

その後しばらくして、僕が実家を出て一人暮らしを始めたり、父親の仕事が忙しくなったり、いくつかの理由があって、僕たち家族はいつのまにか一緒に帰省することはなくなってしまった。

それから十数年ぶりに、カーラジオから流れてきたBobby Brownの”Don’t Be Cruel”を耳にした。でもそれは「GTA: San Andreas」の中の話。

真夜中の海岸線を、フラッシュバックした思い出と一緒に200kmオーバーで走り抜ける。連続した灯と、炎上したタンクローリー。PAの駐車場で聞こえてくる男達の猥談と、バーガーショップ前で逃げ惑う人の悲鳴。やけに澄んで聞こえるパトカーのサイレン。

僕が未だにPS2を引っ張り出して、このゲームを遊んでしまうのは、たぶんこういう理由だ。


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