- 出版社/メーカー: スパイク
- 発売日: 2010/02/25
- メディア: Video Game
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ひとまずメインのダンジョン「エメラルドパレス」を踏破。
これまで10数時間遊んで抱いた印象として、ゲームそのものの完成度としては、シレンシリーズの中でも会心の出来。個人的には初代・月影村に並ぶ高バランスの一本だと言える。
武器・盾のロストを(ある程度)予防できる”タグ”と、復活と脱出を兼ねる”やりなおし草”など、ベース部分での難易度を落としつつ、一歩先で常に死の危険を作る「夜」によって定期的にシビアな状況を作り出す。この「夜システム」による難易度の揺らぎは、ゲームに適度な緊張感を与え、手練のシレンジャーをも脅かす。
また、武器・盾の「成長」も、あらゆる場面でプレイヤーの”選択”を作り出す良システム。使い込む事で強くなる気持ちよさと、コレクタブルな楽しさも内包し、基本のゲームプレイとの親和性がかなり高い。
しかし、個人的に非常に不満だったのは、ゲームに登場するNPCの扱いがぞんざいすぎる事。シレンはゲームの表現・システムの設計上、世界がもの凄く狭い。モンスターを除き、登場するNPCはおそらく100キャラ前後。この数は他のゲームからすると圧倒的に少ない。
だからこそ、1キャラ1キャラに丁寧なセリフやバックボーン、個性付けが出来る。これまでのシレンは、この極めてミクロな世界だからこそ、細かなディテールまでデザインされた世界観や人間関係、村々の空気すらも感じることができた。この大傑作が生まれたのも、この人間臭いNPCたちの造型があってこそだった。
NPCに話すたびに表示される「男」「娘」「若者」の血の通っていない文字列。ナオキやビビンギダ、ケヤキやアモカチといった面々の佇まいとセリフから醸し出される生活感と、リーバ八獣神に見守られ、また弄ばれる運命の妙。この何とも言えぬ愛すべき独特の空気感。それらが本作からは完全にスポイルされている。僕はこれが本当に悲しかった*1。
本作「風来のシレン4 -神の眼と悪魔のヘソ-」は世界観やキャラのオリジナリティ、言語センスの輝きは失われてしまったが、ローグライク/シレンという遊技としては完成度の高い佳作であることは間違いない。クリア後のダンジョンも個性と戦略性が両立したものばかりだ*2。
シレンジャー、そして厳しい状況が続くチュンソフトに、旅の神クロンの追い風が吹かんことを。
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