何度朝が来ても吹っ切れない気分

僕たち兄弟は、僕が中学に入っても夜9時には布団に入らないといけなかった。だから水曜の夜10時に放送されてた番組なんて観る事もできず、ただうっすらと聞えて来るテレビの音に耳をすましながら、弟とドラゴンボールの話をして、眠りにつく毎日だった。

彼らを初めてちゃんと見たのは偶然ネタ番組を目にしたからで、周りの人からしてみれば「何を今更」だったんだと思うけど、僕は一瞬にして虜になった。あらゆるテクニックを駆使したボケのスタイル。ひとつの話の中で二転三転と展開していくその構成。たった一言で、そのキャラのバックグラウンドや心理状態を的確に客に伝える言語センス。もちろん当時はそんな事に気づくわけがなくて、ただ漠然と「すごいなあ」と思ったのを今でもよく覚えている。

その後僕は自分の進路を決め、その事ばかり勉強していたから、あまり彼らの事を熱心に追うことはなかったけど、それでも彼らが解散したって知ったときは物凄く寂しかったし、まるであとレベル3UPで進化するとを知らずに2軍落ちさせているコダックとそのプレイヤーを見たかのように、なんて勿体ないんだろう、と偉そうな事も思った。

その死を悔やむ多くの方々と僕は恐らく世代がひとつふたつ違うので、彼らが僕の青春だったわけではなく、ライブを見に行くこともなかった人間なので、皆さんほどの思い出も思い入れもないだろう。だけどほんの少しだけ、僕の生活に触れただけで、これほどまでにはっきりと覚えているってことは、どうしようもないバカだった僕ですらも感覚で彼らの凄さを理解できたって事なんだろう。

何より、(聞いた/読んだだけで言うのは申し訳ないけれども)あれほどまでにお笑いに命を賭して挑み続けた人を僕は本当にカッコいいと思うし、そんな人が亡くなってしまう事を本当にどうしようもなく悔しく思う。

村田渚さん、心からご冥福をお祈りいたします。

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