Xbox360「Braid」


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Xbox Live Arcadeにて8/6から配信中の新作。何の気なしにDLしてみたんだけど、予想を大いに上回るクオリティで大満足。このゲーム、ジャンルは横視点のアクションパズルで、主人公の『時間を巻き戻せる』という特技を駆使してギミックを解いていく、というもの。

「時間巻き戻し」はいつでも好きなだけ実行できる。このゲームでは敵に接触したら死ぬ仕様だけど、接触して死んだと同時に「巻き戻し」を発動して「死ぬ前」にいつでも戻せるため、事実上ゲームオーバーが存在しない。つまりアクション部分での難易度はほぼゼロ*1。しかしこのBraidの真骨頂は『時間巻き戻し』を使った『パズル』。この部分の難解さ・秀逸さはここ最近僕が触れた中でも白眉の出来で、ひさびさに感激した。

『巻き戻し』を使った遊びの一例をすこし紹介。

基本的に『巻き戻し』を行うと自分を含めた全てのオブジェクトがその影響を受けるのだけど、時にその『巻き戻し』が通用しないものが存在する。それはゲーム中では緑のオーラに包まれたオブジェクトがそれにあたる。

たとえば一度落ちたら這い上がれない高さの落とし穴がある。その底には「緑のオーラに包まれた鍵」。この鍵がなければ先に進めない。そういうステージがあるとする。一度落下した落とし穴から這い上がるのは簡単で、時間を巻き戻して「落ちる前の状態」にすれば良い。そして緑のオーラに包まれたオブジェクトは時間の影響を受けないため、『巻き戻し』が行われてもそのオブジェクトは元に戻らない。

つまり、「一度穴に落下し、鍵を入手。その後『巻き戻し』をすれば、「カギを持ったまま穴に落ちる前の状態に巻戻る」」。

これ以外にも、「巻き戻された時間の重複再生」「スロー」など、「時間」を使ったパズルはステージが進むにつれ加速度的に複雑化していくので、もの凄く頭を使う。その一つ一つがよく練られていて、そのたびに感嘆してしまう。

そしてどうでもいい話だけど、会社のみんなで遊んでいて気づいたのが、ジョジョを読んでいる人間の「気づく」スピードの早さに笑ってしまった。僕もそうだけど、時間ネタを知っているだけあって、非読者よりもはるかにカンが良かった。

…という事で、1200ポイントというやや高めの価格と、主人公の顔が野々村真に似ているところがアレだけど、ゲーム好きは是非触れて欲しい一本。そしてもちろんジョジョ好きにも。

Braid 公式

*1:タイミングがシビアな足場ジャンプなど、厳密にはそれなりのアクション性はある

極私的2007年のBest「Portal」

ハーフライフ 2 オレンジボックス【日本語版】

ハーフライフ 2 オレンジボックス【日本語版】

今年のゲーム業界は近年でも類を見ないほどの傑作/大作が数多くリリースされたのが印象的だった。国内では7年ぶりに再生した「高速カードバトル カードヒーロー」や、メタRPG的モチーフを高いレベルで租借し、別ジャンルに組み替えた「勇者のくせになまいきだ。」やグラフィック/ゲームデザインのハイセンスさに舌を巻く「PATAPON」、ヴァニラウェアの新作「オーディンスフィア」*1など、小品でありながら非常に良質なタイトルが多かったように思う。もちろん「スーパーマリオギャラクシー」も忘れてはいない。

しかし、今年の海外のビデオゲームシーンの充実さは正直異常だった。

各種海外メディアが軒並みGame of the yearに挙げる「BioShock」(PC) 、スケボーゲーム=トニーホークという図式が当たり前のジャンルに勝負を挑み、そのパイを半分以上奪い取った*2「Skate.」(Xbox360/PS3)、完全な外注制作ながら、グラフィック/サウンド(敬愛してやまないvirt!!)/バランス全てが近年の内製作品以上にコナミの血を色濃く受け継いだ「Contra4」(NDS)、他にも「CoD4」や「Halo3」(Xbox360)、「Mass Effect」(Xbox360)「Crysis」(PC)など、年間ベスト級の作品が今年大量にリリースされている。

そんな粒ぞろいの中でも、僕がダントツで今年のベストに挙げたいのが「Portal」だ。同じ「OrangeBox」に入っている「Team Fortress 2」のグラフィックのアプローチやレベルデザイン、非常にセンシティブなバランス取りにも感動したが、「Portal」の完成度には本当に腰が抜けた。

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まず、「空間をつなげる二つの穴を作成してマップを攻略する」という根幹のアイデアが素晴らしい。「空間をつなげる」レベルのネタを思いつく事はそれほど難しくないが、そこに「スピードの維持」を加える事で、システムの可能性が膨大に広がっている*3

しかしこのシステムには問題があって、複雑ではないが、感覚的に理解する事が難しい。「Portal」ではその問題を秀逸なレベルデザインによって解決している。このレベルデザインは非常に”任天堂的”な思想によって組み立てられていて*4、プレイヤーに気付かせないデザイン側の適度な誘導と、プレイヤーが思考し、解決することで深くシステムを理解させる事に成功している。これにより、プレイヤーはストレスなくシステムを学習し、ゲームの中盤になれば直感的に思考、操作できるようになる。

そして、ゲームをただのパズルで終わらせない膨大かつ緻密なバックグラウンドに基づいたストーリー。これも本当に素晴らしい。パズルゲームにおいてシナリオは往々にして蔑ろにされがちだが、「Portal」ではゲーム開始時「新技術の臨床実験」という状況設定のみが知らされ、ステージ進行に伴って徐々に全貌が明らかにされていく。このハイクオリティなストーリーが、プレイヤーのモチベーションを高め、またゲーム全体を美しくまとめ上げている。

断言するが、この「Portal」を遊ばずにFPSの将来について語るような評論家、編集者、レビュアーの意見は全て無視していい。

ただ正直な話、僕はこの「Portal」を日本人が作れなかった事が何よりも悔しい。映画的なストーリーやデザインセンスはともかくとして、ひとつの突出したネタを軸に作品を作り上げる思想は、横井軍平を始祖として連綿と日本人が得意としてきた仕事のはずだからだ。

今日本のゲーム業界が警戒する相手はEAでもActivision Blizzardでもなく*5、Valveだと僕は思っている。

しかし前述の「勇者~」や「PATAPON」を初めとするコンパクトな意欲作が再び目立つようになってきた事は救いで、ここ数年迷いのあった日本の開発の方向性がいい形で絞れてきた事を感じさせる。

来年こそは、今年世話になった分、極東からの強烈なアンサーを見せ付けてやろうじゃないか。

それでは、よいお年を。

Portal – Teaser Trailer


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公式トレーラー。

Portal – Credits Song ‘Still Alive’


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Portalのエンディングテーマ「Still Alive」。歌詞もまた世界観を補間する重要なヒントとなっている。素で聴くだけでも十分いい曲だが、ゲームをクリアした後に聴くと感動もまたひとしお。

*1:ヴァニラウェアはIGNの「PS2:Best Developer」を受賞している

*2:むしろ操作性の"リアルさ"では10歩先に抜き去った

*3:ゲーム内では「フリング」と呼ばれる。重力を利用して勢い良くポータルに飛び込み、もう一方のポータルからその勢いで強く飛び出すテクニック。

*4:個人的には、ここ最近の内製の作品よりも任天堂的であると言えるほど、模範的なレベルデザインがなされていると思う。

*5:Blizzも物凄く丁寧で妥協のないゲーム作りで尊敬している

SFC「天地創造」ENIX/Quintet

ここ2週間程、勉強のために「天地創造」をプレイしていた。帰宅後の1時間をこのゲームに割き、日曜にやっとクリアできた。

プレイしてすぐに感じたが、流石ゲーム史上に残るSFCアクションRPGの金字塔なだけあり、非常にクオリティの高い、とても良い作品だった。発売当時にクリアはしていたものの、久しぶりに遊んでそう再認識した。

アクション部分に関して言えば、正直荒削り感が漂うのは否めないが、それを補って余りあるグラフィックセンス、技術とセンス両方が高いレベルで融合した画面演出、音楽、そしてシナリオ。90年代RPGデベロッパーの雄、クインテットの到達点といって間違いない。

最近はPCゲームが普通の量販店で買えたり、輸入版がネットで簡単に注文できたり、今月はフルローカライズされたOblivionがリリースされるなど、海外産のRPGが普通に遊べるようになった。高い技術力と豊富な予算から生まれる重厚でリアリズムあふれるそれらは、僕らにこれまでとは比べ物にならないほどの驚きと没入感を与えてくれる。

だけどこの「天地創造」全体が持つうっすらとした物悲しさ、クリア時にふと心に押し寄せる、ほんの少しの寂しさは、JRPGだけが持つ素晴らしさであり、僕が今でも埃まみれの旧世代機を引っ張り出し、息をフーフーさせながらプレイしてしまう理由なのだ。

追記:天地創造についてのテキストを書きました>FLATAGE 04.

重機人間ユンボルの終わりに

こんなにも面白くてトリッキーでパンチの効いたマンガ*1だったのに、悲しいかな大方の予想どおり終了。

面白さを理解できない読者がバカなのか、子供(と一部の女子)が読むマンガ雑誌の人気傾向に異を唱えるいい大人の僕がバカなのか、はたまた編集者がバカなのか。

切ないのは、「ユンボル」しかり「みえるひと」しかり読みきりから一切音沙汰がない「真波プー」先生しかり、僕が愛してやまない人、作品がジャンプ的には評価されないという、僕と彼らの嗜好に大きな溝が出来ていることを、何度目か分からない位のもう一度、容赦なく認識させられた事だ。

最後の最後、遠くを見つめるバルの佇まい。

僕はその姿に、同じく愛してやまないタイム涼介的な青さと清々しさを感じて、たまらなくなった。

国はひとつの命から生まれるってな
(中略)
オレ達道を作り続けるだけよ

*1:この作品、というか武井宏之先生の言葉遊びが死ぬほど好きなのだ僕は

石ノ森章太郎「ドラゴンクエストへの道」(作画:滝沢ひろゆき)

マンガ ドラゴンクエストへの道

マンガ ドラゴンクエストへの道

ゲーム屋を生業とする人間にとっては、かの聖典「まんが道」と双璧をなすと言っても過言ではない「ドラゴンクエストへの道」。会社に置いてあったのを発見し、相当久しぶりに読んでいたんですが、ダメですね。何度読んでも目頭が熱くなります。

全体的にエンターテインメントしている作りなので、このシナリオの全てがリアルだとはとても思えないですが*1、長い期間を経てついにマスターアップの瞬間、すぎやまこういちが電話越しに「DQ1」のフィールドBGMを鳴らした時、全ての登場人物が涙してしまう下りを読むと、どうしてもグッとくるものが込み上げてきます。

ここまでドラマチックな話が本当だったのかは分かりませんが、それでもマスターアップの瞬間に流した涙はきっと真実だったんだろうと思い、自分が体験してきた同じような感覚が混ざってしまって、どうしようもなくなる訳です。

時代こそ違えど、同じくマスターアップの瞬間の感慨深さは同じなんだろうと思います。たとえ作ったものがクソゲーだろうと、歴史に残る傑作だろうと、10億単位のプロジェクトだろうと、予算1000万未満の携帯ゲームだろうと、その瞬間の感慨深さは同じなんだろうと思います。

大声で叫びたくなる程の嬉しさと安堵と、ほんの少しの寂しさと。

*1:あと登場人物が総じて美形に描かれすぎでした。堀井雄二、Ⅳの頃にはもう簾頭だったじゃん