極私的Game of the Year 2011

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今年は世間的にも自分的にもあまりにも色々なことがあった。今年の初旬から夏前まではディレクションしたゲームの佳境がずっと続き、そのマスター直後、休みほぼゼロからの…別プロジェクトのリードレベルデザイナーになっちゃってヨッシャ!という感じで相当に忙しい一年だった。

と言いつつも、結局今年も結構な数のゲームをプレイしてきたわけで(いっちょ噛み程度のもの含め)、自分のメモも兼ねて、極私的なGame of the Yearをいくつか書いてみたい。

まず今年自分の金でプレイしたゲーム(仕事/フリー/ブラウザゲームを除いた)一覧は以下。

プラットフォーム タイトル名
[3DS] ゼルダの伝説 時のオカリナ3D
[3DS] ひらり桜侍
[3DS] マリオカート7
[DS] Monster Tale
[Dsi Ware] 洞窟物語
[Dsi Ware] Mighty Milky Way
[PC] Starcraft 2
[PC] Duke Nukem Forever
[PC] Dead Island
[PC] Battle Field 3
[PC] The Sims: Pets
[PC] Magicka
[PC] Portal 2
[PC] Voxatron
[PC] Loop Raccord
[PC] King Arthur’s Gold
[PC] One Unit Whole Blood
[PC] Orcs Must Die!
[PC] The Elder Scrolls: Skyrim
[PC] Sid Meier’s Civilization 5
[PC] Killing Floor
[PC] The Chronicles of Riddick:Assault on Dark Athena
[PC] The Ball
[PC] Brink
[PC] Terraria
[PSP] タクティクスオウガ 運命の輪
[PSP] エビコレ+ アマガミ
[PSP] グランナイツヒストリー
[X360] L.A.Noir
[X360] Gears of War 3
[X360] Deus Ex : Human Revolution
[X360] Batman: Arkham City
[X360] Bastion
[X360] ドリームクラブ0
[X360] Dead Space 2
[X360] Fallout :New Vegas -Dead Money-
[X360] Fallout :New Vegas -Honest Hearts-
[X360] Mass Effect 2

(プラットフォーム順。時系列は不同)

ここから自分的に印象深かったゲームをいくつかピックアップしたい。

Portal 2(PC)

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今年は何と言ってもこれに尽きる。2007年のウルトラ大傑作「Portal」の続編ということで、プレイヤーとしても開発としてもリリース前から期待値がすさまじく高かった一本。

しかし、前作の美しすぎるパッケージングが逆に『アレの続編ってどうやんの?』『広がるの?』『ただのマップパックじゃないの?』といった不安があった訳だけど、そのどれもこれもをアッサリと吹き飛ばしてしまう上手すぎる構成に唖然とした。

ゲーム単体で言ってしまえば、ゲームは前作の基本ルールを拡張したもので、イノベーションはほぼ無い、と言っていい。実際各種ゲームメディアの評価もその点が指摘され、GOTYでも順位は奮わなかった。

だけどこのゲームほど、「続編かくあるべし」を体現できたものを少なくとも僕は知らない。それに加えたスクリプトの配置、導線の巧さ。プロップデザインのスキの無さ。キャラクター造形の素晴らしさ。エンディングシークエンスの盛り上がり。イノベーションの薄さを補って余りある”お手本”が鏤められた、初代「Deus Ex」と双璧をなす、僕にとってのマスターピース。

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Bastion(Xbox 360)

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すでに主要メディアでのインディー部門のGOTYを獲りまくっているので、もはや説明不要な傑作アクション。といっても、アクション部分の作りは丁寧だけど言ってしまえば凡庸。武器の種類、攻撃パターンはそこそこ多いけれど、敵の種類は多くなく、戦略のバリエーションも深くはない。実際このゲームが評価されたのは肝心のゲーム部分ではなく、ガワの”世界観”や”シナリオ”、”サウンド”だったりする。オール手描きのフィールドグラフィック、ゲームが進むにつれ登場人物(自分ではない)のモノローグで記されるストーリーと、まるで物語を読んでいるかのような演出が心地良い。また、コンポーザーのDarren Korbが紡ぐ曲がどれも本当に素晴らしい。名実ともに2011年のベストVGMといえる。

僕がこのゲームで一番感心したのは、インディーデベロッパとしてのゲーム作りの巧さ。潤沢ではない資金、少ないヒューマンリソースを最大限生かした構成でこの良作を作りきったこと。ベース部分は小さくオーソドックスに作り、実装が肥大化せず、かつ最大限オリジナリティを出せるアートワーク/スタイルとサウンドにパワーを割いた点。このバランス感覚の良さは純粋に見習いたい。

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King Arthur’s Gold(PC)

KAG

今年に入ってからのMinecraftの大ブレイクによって、まんまのクローンから思想的な派生ソフトが大量に出現したインディーゲーム界隈だったけれど、中でも今後に期待しているタイトルがこれ。PvPの明快なルール、ブロックを掘る/ビルドすることで地形がリアルタイムで変化する多様性、3すくみのクラスシステムと、シンプルながら拡張性の強いシステムが、今後のバージョンアップを楽しみにさせる。

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でもって

最後に、今年買ったはいいけど全くプレイ出来ていないゲーム「To The Moon」のトレーラーを載せて締めたい。

この「To The Moon」、RPGツクールで制作したゲームながら、純粋なシングルプレイADVとして数多の批評家たちを号泣の渦に巻き込んだ大傑作らしく、遊ぶのが楽しみな一本。

以上、それではよいお年を。

Indie Game Music Bundle開催中

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インディーゲームのバンドルパックを言い値で買うことができるシステム「Humble Bundle」*1が好調なせいか、今度はゲームのサウンドトラックを中心とした、10枚のデジタルアルバムのバンドル購入システム「Indie Game Music Bundle」が11/28まで開催中。

なお、$10以上の課金を行えば、基本の10枚にプラスして7枚がダウンロード可能になる。

MinecraftやSuper Meat Boy、VVVVVVあたりのメジャータイトルや、VGMファン的にはもはや大御所と言っていいJake Kaufman(a.k.a. virt)のMighty Milky Way / Mighty Flip Champsのサントラあたりがラインナップに揃っている。MinecraftやMighty Milky Way / Mighty Flip Champsのアルバムは以前無料でリリースされていた事もあるので、すでに持っている人も多いかもしれない。

90年代お蔵入りになった幻のエロゲーサントラも同梱

個人的に一番オススメしたいのは、「Tree of Knowledge ~知恵の樹~」。これは他のアルバムと異なり、実はオリジナルとなるゲームが存在しない。「1998年、PC-9801向けに開発されていた18禁ゲームが諸事情によりお蔵入りし、2011年になって音源ファイルだけが発掘された」…という”体”の完全オリジナルのFM音源エロゲー風サウンドトラック、というブツ。コンポーザーはcodaとsurasshu。’95あたりを彷彿とさせる音の匂いはおっさんの心の琴線をビリビリ震わせてくれます。


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Minecraft一発で、若手有望コンポーザの中でいきなり抜群の知名度を得たC418の素晴らしいアンビエントはもちろんのこと、AAAタイトル「Mass Effect 2」で腕をふるったJimmy Hinsonの別名義Big Giant Circles、説明不要のvirt、実は曲も評価の高いVVVVVV。VGM好きな方にはオススメのキャンペーン。11/28までなのでお早めに。

Link

*1:最近金のにおいがしすぎ、という批判もあったりする

voxel上の楼閣 – 「Voxatron」α版リリース


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以前紹介した、インディーデベロッパLexaloffle Gamesの新作タイトル「Voxatron」のα版がついにリリースされた。販売形式はHumble Bundleスタイルとなっていて、言い値でタイトル及びEFF/Child’s Playへの寄付として購入できる仕組み。(タダでも入手可能)

11/2現在、まだリリースから2日しか経っていないにもかかわらず、既に販売本数は98000本、売上げは$440000を超えている。

また、平均価格を上回る額で購入すれば、オマケとして「The Binding of Isaac」と「Blocks That Matter」2本のゲーム及びそれぞれのサウンドトラックが付いてくる。

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実際のゲームを遊んだ感触としては、ボクセルのビルドと破壊を利用したパズル要素も時々あるけれど、予想よりも純然たるアクションシューティング、という印象。アドベンチャーモードは、細かく区切られたレベルを順次クリアして進んでいく遊び。もうひとつのアーケードモードは、無限に沸くモンスターをひたすら倒してスコアを競うことができる。

操作体系はXBLAの「GeometryWars」を遊んだことがあれば、その操作感に近くて、全方向移動+全方向射撃+ジャンプ、という感じ。3way弾や鎧をまとって剣で攻撃、といったバリエーションはある。

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このゲームももう一つの特徴であるエディットモードは、区切られた1レベルを作成して、専用サーバーにアップロードが可能。敵やオブジェクトの配置および出現はタイムラインで管理できるので、「時間差でミノタウロス出現」とか「大量モンス沸き後にボム出現」といった事もできる。

まだアルファ版なせいか、見た目的にもコンテンツの性質的にも比べられがちなMinecraftほどの深み・やり込み要素は少ないけれど、パッと見の可愛らしさと新奇性、ボクセルがボロボロこぼれ落ちる小気味よさが気に入れば楽しめる一品。

個人的には今後のアップデートで奈落や溶岩などの即死エディットができるようになることを期待。

2011/11/06追記

溶岩ゾーンの作成は[Base]設定から”Lava”選択で実装可能。各種オブジェクトの出現トリガーも、時間だけではなくモンスター全滅後やアイテムピックアップなど設定可能。細かく作ればそれなりに面白いレベル作成ができそう。

なお、プレイヤーが作成したエディットレベルは公式BBSにエディタから直接アップロードが可能。アップロードされたレベルは、ゲームから直接DLでき、いつでもプレイできる仕組みが整っている。

Link

過去記事

3Dボクセルアクション「Voxatron」予約販売間近

Lexaloffle Gamesがかねてより開発中の「Voxatron」がいよいよ予約開始、との報。

Voxatronってどんなゲーム?こんなゲームです。


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「3Dドットゲームヒーローズ」というゲームがあったけれど、こちらのVoxatronは更にその表現が徹底されている。(おそらく)ゲームを構成する全てがボクセルで構成され、オブジェクトはもとより、各種パーティクルも全てボクセル表現で完結。また、細かい演出周りで、ラスタスクロールやカラーパレットの色替えなど、オールドスクールな演出をボクセルで表現している所も面白い。

プレオーダーは数週間以内に開始される予定で、予約したユーザーは先行してアルファ版がプレイ可能。また、エディタである「Voxatron Editor」も同梱されるとのこと。

Link

Voxatron公式:http://www.lexaloffle.com/voxatron.php

Lexaloffle Games:http://www.lexaloffle.com/

IGF Nuovoファイナリスト「Loop Raccord」が新しい

GameSetWatch IGF Nuovo Finalist Loop Raccord Coming To iPad Soon

今年のIndependent Games Festival:Nuovo Awardファイナリストに残った「Loop Raccord」のiPad版が出る、との記事を読んで今更ながらフリーのWindows版をダウンロードして遊んでみたのだけど、これが素晴らしいイノベーションのゲームでちょっと感激したので紹介。

どんなゲームかというと、まずは下の紹介動画を見てみましょう。

動画の”動き”を繋げて遊ぶ

簡単に言うと、「動画版ピタゴラスイッチ(a.k.a.インクレディブルマシーン)」。画面上には短くループする動画がタイル上に並べらた所からゲームがスタート。プレイヤーは開始地点からひとつずつ再生タイミングを操作し、各動画間の”動き”を連鎖させていく。画面上全ての動画の”動き”が綺麗に連鎖できたらステージクリア。これをどんどん続けていくのがこのゲームの全て。

正直なところ、Win版の「ゲーム」としての完成度はお世辞にも高いとは言えない。…んだけど、とにかくこのゲームの本質とアプローチの新しさには驚かされた。

iPad版は対戦モードもある模様。是非買って遊びたい。

操作方法

  • マウス左クリック
    • 動画の再生/一時停止(toggle)
  • マウスホイール
    • コマ送り/戻し(動画停止時のみ)
  • マウス右クリック
    • 動画の逆再生/一時停止(toggle)
  • ESC
    • ヘルプ
  • Alt+F4
    • ゲームの終了

Link