ジミー・コリガン日本語版(1)

JIMMY CORRIGAN日本語版VOL.1

JIMMY CORRIGAN日本語版VOL.1

所謂オルタナティヴ・コミックスと呼ばれるジャンルにおける金字塔(とされている)、クリス・ウェアの傑作。原作がリリースされた2000年以降、この作品は数々の名だたるタイトルを受賞し、ニューヨーカー誌に至っては、「全てのマンガと呼ばれるものの代表作」とまで言わしめている。

主人公ジミー・コリガンは小太りで薄らハゲ、毎日パッとしない仕事をこなし、毎日職場にかかってくるママの世間話の相手をし、シリアルを食って寝るだけの冴えない(の一言じゃ済まされないほど冴えない)男。

その冴えない生活の歯車がずれはじめたきっかけは、飛行機のチケットが同封された一通の手紙。差出人は、今まで一度として会ったことのない父親からだった。そしてジミーは飛行機のチケットを手に、旅にでる―

というような内容。日本語版は3巻に分けて刊行していくそうなので、この1巻はちょうど物語が加速していく辺りで終了。

非常に洗練されたグラフィックとストーリーは当然として、とにかく装丁を初めとして、”本”としての完成度がすごい。ハードカバーの表紙をめくると、いきなり膨大な量のテキストがぎっしり並べられたページが出現。中身もなんというか偏執的。中にはクリス・ウェア自身が描いたであろうペーパークラフトまで入っている。なんというか、ページを開いてから読み終えるまで、息をつく暇が本当にない。それでいて全てのページが美しいから、まるでキッチリと重箱に整理され、色彩バランスも栄養バランスもバッチリな完璧弁当箱のよう。

定価2800円。フルカラーのマンガ的には高すぎる値段だけど、図書館に行ってでも読む価値は十分ある。

日本語版の当該ページ:http://www.presspop.com/shop/chris_ware/cw_008.html

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